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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2006年07月23日

こころの解読競争

 ヒット商品応援団日記No83(毎週2回更新)  2006.7.23.

このブログをスタートさせ一年弱になる。当初一週間で70〜80のアクセスであったが、エリアを広げ複数のブログに書き始めたこともあり400アクセスを超え、累計で1万アクセスを超えた。感謝!マーケティングという専門分野であり、しかもご覧いただいている方との共通の言葉、文脈をもたないまま公開してきた。私自身もまだまだ勉強中であり、コミュニティの時代を迎えようとしている今、埋もれているヒット商品をぜひ教えていただきたい。コメントあるいはトラックバックはフリー(但し、アダルト関連については削除しています)で、またHP(http://homepage2.nifty.com/iizuka-takashi/)には応援団のメンバープロフィールも公開しているので是非ご覧いただきたい。私のブログはこれからヒットするであろう着眼点や視座について書いている。既にヒットしている商品や業態、サービスについてはYahooのランキングサイトを始め多くのメディアも取り上げているので取り上げるつもりはない。例えば、以前話題となった「冷凍みかん」について触れたことがあるが、GTOというミュージシャンの歌と連動させていることと共に、団塊世代ばかりか若いティーンにも過去に遡って消費している点、「プチ思い出消費」について指摘したかったからである。冷凍みかんだけでなく、学校給食の上位には「揚げパン」もあり、コンビニには既に置かれており人気商品の一つとなっている。そのように未来をどう見ていくか、その着眼点をこのブログを通じて提供していきたいと考えている。実は、先日私のパソコンが壊れ、HDを交換してもらう2時間ほど久しぶりに渋谷の街を歩いた。公園通りからセンター街、渋谷109へと歩いたのだが、2000年前後のティーンのファッションやメイク、いわゆるガングロ・山姥とかなり変わってきているなと感じた。当時のおどろおどろしいスタイルから、婆娑羅の世界を残しつつもう少し大人っぽく洗練されたスタイルになっていた。理屈っぽくいうならば、「大人化」は着実に進んでいるなと思った次第である。
ところで、今流通をはじめ多くのビジネスがいかに「顧客に近づくか」様々な試みがなされている。顧客に近づくとは、常に揺れ動くこころ、意識下にある潜在的な動きを把握することに他ならない。今から10年以上前、コンビニの成功はPOSデータの読み取り、分析にあると言われてきた。店頭には常に小さな変化、新商品は次から次へと投入され、その結果をPOSデータとして分析&ストックされてきた。その代表が1日の来客数2600万人のデータを読み取ってきたセブンイレブンであった。勿論、ローソンもファミリーマートも同じ方法をもって競争してきた訳である。しかし、以前気に入った商品が来てみると店頭になかったり、店頭にある商品を選択するに足る情報がなくて迷って買わなかったり、つまり顧客心理の奥を読み取るにはPOSだけでは不可能であった。こうした顧客心理を読み取る2つの競争が始まっている。1つは周知のICタグ・デジタル技術を活用してより顧客心理に近づこうとする試みである。商品についたICタグにより、瞬時に精算できるという便利さの向上だけではなく、顧客が商品を手に取ったかどうか、結果購入したか否かを分析する試みである。つまり、店頭での消費行動、どんな動きをしたかを分析しようとするnext POSへのトライである。もう一つの方向はセブンイレブンでは「ご用聞き」活動で訪問対話による顧客心理の把握であり、ローソンではシニア向けの店舗ではシニアの店長を置いたり、シニア同士が集い会話してもらえるようなコミュニティスペースを作ったりする試みである。旧来の商店街では当たり前であったアナログとしての対話や配達を取り入れる試みである。
さて、こうしたこころの奥まで入り込む方法についてどちらが正解かという問題ではない。おそらく2つの方法の組み合わせになるだろう。但し、問題は個人情報の取り扱いである。いくら法が整備されても、見えないところで個人情報は使われている。個人情報活用の代表的事例としては、あの書籍ネット通販のアマゾンだと思う。いわゆるカスタムメイドサービスで、以降多くのネットを含めた通販型のビジネスモデルに採用されてきた一つのシステムである。そのシステムのお手本はアナログ世界、例えば馴染みのレストランでは名前ばかりか前回食べたメニューをお覚えてくれていて、そうした履歴情報をベースに今回のおすすめを用意してくれるといったサービスであろう。こうしたアナログ的世界、別なことばでいうと記名された世界を、IT技術を駆使しストックされた情報をもとにシュミレートし、アナログと同様の顧客サービスを匿名世界においても行う時代となっている。わかりやすく言えば、問い合わせや購買といった「履歴情報」をストックし、アクションの結果を突き合わせ精度を高めていく方法である。専門的なことに入ってしまったが、こうしたデジタル世界を私は否定している訳ではない。問題は「無自覚」のまま、生活に取り込んでいるということにある。ある意味では「管理された」世界に住んでいると言える。このことを可能にしているのは、ことばにならない「不安」であろう。コンビニにおける新しい2つの試みも、「不安解決」を入り口にしたこころへのアプローチであると考えている。単純化していうと、ICタグのついた商品を手に取ったが結果購入しなかった場合、なんらかの不安があり、パッケージなどの情報では不安解決に至っていないと判断するであろう。また、シニアのこころはシニアが分かってくれるであろうという不安解決法の一つである。今、こころの解読競争が始まった。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:41Comments(0)新市場創造