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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2006年07月13日

こころに効く商品 

ヒット商品応援団日記No80(毎週2回更新)  2006.7.13.

ここ10年程「癒し」が都市生活者にとって大きなテーマとなっている。このブログでも「個人化」というキーワードを何回も使ってきた。マイブームは私用化であり、オーダーメイドによる「お取り寄せ」も盛んで、飲食店にまで個室が完備されてきている。しかし、個人化とはその本質が「孤独化」でもあることが、自覚され自己解決策がとられ始めてきている。そして、この孤独化を更に病的にまで進めてしまうのが「ストレス社会」である。数年前、「快眠」をテーマに眠り市場をスタディしたが、不眠の主要原因はストレスであった。そのストレス背景であるが、家庭内ストレスも多くあったが、最大原因はやはり急激なる「働き方の変化」にあった。特に、1990年代のビジネス進化を整理してみると、
1、知識集約型ビジネス=精神労働化時代へ→こころの疲労、こころの強化、
2、圧倒的なビジネススピードの時代へ→生活リズムの喪失、モードチェンジの難しさ、
3、個人契約労働化の時代へ→見えないストレス、自己解決
こうした背景から、ビジネスを終えて帰宅してもなかなかリラックスした自分に戻れない、そんな解決策として様々な癒し商品が生まれてきた。日常でのモードチェンジのための商品では、バスルームの充実がはかられ、香り商品も人気商品となった。勿論、快眠のための枕をはじめとした商品にも注目が集まった。あるいは、東京では恵比寿をはじめ多くの若いビジネスマンが帰路立ち寄るショットバーが繁盛している。更には、季節単位でのモードチェンジとして、沖縄離島などのリゾートが大人気となっている。この延長線上にはアニマルセラピー、もっと身じかにいうならば、ペットブームがある。現在、1200万頭の犬がペットとして飼われ、ペットにもトレンドがあり無理な交配が障害犬を生んでいることは周知の通りである。
少し視点を変えて見ていくと、「お笑いブーム」も一時ストレス解消娯楽であり、直接的ではないがエステも同じリフレッシュ効果がある。極論ではあるがファッションやアクセサリーの購入を見ても「自分へのご褒美消費」としての側面を持ち、自己癒し消費と言えよう。つまり、私達の回りにある市場の多くは「癒し市場」としての側面を併せ持っているという事実である。情報分野で言えば、こうしたブログ仲間、ネットコミュニティも孤独者同士がネット上で会話することも癒しと言えなくはない。今流行のヴィンテージジーンズや古民家、和雑貨など和ブームも歴史という時間のもつ「深さ」「穏やかさ」といった「美」が本質としてもっている癒しにつながっていると思う。そして、この分野での最近のヒット商品の代表は、1ヶ月程前「感の時代」で取り上げた「えんぴつで奥の細道」であろう。
ところで「こころに効く商品」で一番分かりやすい商品は、確かこのブログでも取り上げた「こどもびいる」であろう。福岡のもんじゃ鉄板焼「下町屋」(http://www.monjayaki.com/)が飲料「ガラナ」のラベルを「こどもびいる」に張り替えて出したところ、人気メニューになり全国に広がった、あのヒット商品である。チョットお洒落に、クスッと笑える、一種の癒し商品である。最近では「アヒルサイダー」を出しているようだが、できれば「おとなびいる」というノンアルコール系の「和みビール」でも出して欲しかった。いずれにせよ、ネーミング・ラベルという伝え方一つでこころに効くヒット商品となる。こうした「こころに効く」着眼市場は益々広がっていく。数年前までは一種の「隙き間市場」であったが、どの市場であれ、「こころに効く商品」がキラーコンテンツとなって当該市場全体を牽引していくこととなる。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:46Comments(0)新市場創造