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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年08月05日

行ったり来たり時代      

ヒット商品応援団日記No190(毎週2回更新)  2007.8.5.

このブログを書き始めて2年になるが、経済事象だけでなく、いわゆる社会的事件と呼ばれるようなものまで幅広く取り上げて来た。取り上げた事象の裏側に何を読み取るべきか、私自身の気づきを書いて来た訳である。例えば、福岡の「こどもびいる」の発想アイディアや東京湾岸豊洲などに出現した新しい都市リゾートといったライフスタイル、都心百貨店のリニューアルなど、多岐多様に渡っている。ライフスタイル研究と言えば、それで終わってしまうが、理屈っぽく言うと、「今」という時代の民俗学の一端を担いたいと思っている。

今、一番気になり、どんな変化が起きているのか注視しているのが、インターネットの世界である。10年ほど前、ネット(仮想)と現実(リアル)は対立するものであったが、今や仮想とリアルを行ったり来たりが「生活」となった。こうした感覚は10年前にはなかった感覚である。10年前、ポータルサイトというキーワードがネット上で重要なものとして語られていた。周知のように今や死語となっているが、死語へと葬り去ったのがGoogleである。2000年前後のITバブル崩壊の時代に黙々と検索用PCをネット上に置き続け、今や60〜70万台のPCが置かれていると言われている。今や、時間的、空間的にバラバラであったものを瞬時に整理し、必要とされるところに必要な情報を提示してくれる。例えば、世界中にある約7億以上のブログ、日本語圏だと約2600万ものブログから瞬時に欲しい情報が手に入る。脳科学者の茂木健一郎さんは、人類の脳を大きく変化させたものの一つは言語であったと言う。そして、このネットの世界も言語発生以来大きく脳の使い方を変えていくものであると予測している。そこまでの専門研究は分からないが、少し前にマイブームならぬ、マイ・メディア社会が到来しているとこのブログでも書いたが、考え方・表現の在り方が大きく変化していく初期段階にあるのかもしれない。

すでにライフスタイルの大きな潮流の一つが「消費から生産へ」である。モノ充足から、次の質的生活へと変化してきた訳であるが、消費する欲望から何物かを創る欲望へとお金の使い方が変化してきている。ブームとなっている家庭菜園も経済合理性だけを考えたらスーパーマーケットで買った方が安い。しかし、自ら育て収穫するという安心安全という理由もあるが、育て収穫する喜びが背景にある。食ばかりか、生活の多くのモノが自己表現になっていく。つまり、多くの生活者はクリエーターへと目覚めていく。完成品となった商品ではなく、素材や道具が買われていく時代となる。趣味の領域では道具と方法、さらには作業スペースをレンタルするビジネスが始まっている。そして、こうした創る「方法論」それ自体が売られ、自ら創った「作品」を発表する舞台が必要となる。家庭菜園という食で言うと、リアル舞台は家族や友人仲間とのホームパーティが舞台となる。ネットという仮想舞台ではレシピの公開といったものとなる。
従来はプロの手で行われていたものが、ごく普通の生活者によって行われていくこととなる。ネット(仮想)と現実(リアル)とを行ったり来たりすることの中から、ここに新しい市場が生まれてくる。と同時に、小売業は店頭に来る顧客はプロであるとの認識を今以上に持って接客しなければならないということでもある。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:50Comments(0)新市場創造