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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2006年09月06日

曲がり角のLOHAS  

ヒット商品応援団日記No96(毎週2回更新)  2006.9,6,

LOHASは、たしか2000年頃に新聞各社で新しいライフスタイルが米国で生まれたと報じられ、翌2001年にLOHAS運動の概要が雑誌などで取り上げられ注目されてきたと理解している。私は当時、今から20年ほど前のDINKS(ダブルインカムノーキッズ)というライフスタイルが話題となったのを思い出した。より具体的な運動については周知の2004年4月の「ソトコト」創刊によって広く認知されることとなる。そして、ロハスブランド、商標としてのライセンスビジネスとして展開し始めたが、多くの批判にさらされ商標の使用をオープンにして今日に至っている。私がLOHASに注目したのもDINKSとは異なるポリシーをもったライフスタイル運動で、スタンフォード大学でMBAを取得したビジネスマンが中心となって、自ら創り上げてきた米国文明への批判・見直しから生まれてきた点にあった。私にとっては、丁度戦後日本の工業化によって、失ったものを取り戻す動きと重なって見えたこともあった。このブログでも何回か取り上げたがLOHASは日本の至る所に存在しており、既に多くの回帰現象として消費面に出てきている。LOHASが果たすべき役割は食育やエコライフなどの生活運動・社会運動の一つの旗印であり、ブランドでないこと位当たり前である。

さて、江戸時代のライフスタイルをスタディすればすぐ分かることであるが、日本は最もLOHASな国であったし、今もそうである。例えば、江戸時代、紙は極めて貴重なものだった。今で言うリサイクル業者である「紙くず屋」は紙を回収し、10〜20位に仕分けをして用途にあったものにリサイクルしていた。また、何でも貸す「損料屋」というレンタル業者がいて、手ぬぐい1本から着物や掛け軸まで貸すビジネスがあった。この損料屋は江戸だけで、大阪や京都にはなく、江戸が単身生活者が多かったことから生まれたと言われている。また、ある意味で長屋という住居、住まい方も理にかなったものであった。部屋は3坪程度で現代人にとっては狭すぎると思われるかもしれないが、ほとんどベッドルームとして使われていた。ダイニングはといえば共同の井戸のある水場で、バスルームといえば近くの銭湯であり、リビングルームもかねていた。最近流行の老人ホームなどの施設レイアウトを想像してもらったら分かると思う。また、「三方よし」をテーマとした時にも書いたが、儲けたら社会貢献は当然で、江戸時代は商人、地主、家主といった民間人は「町役人(ちょうやくにん)」と呼ばれ、掃除から道路整備、果ては捨て子や迷子の養育までを行っていた。今日でいうところのボランティアである。

そして、LOHASが今なお最も生活現場に色濃く残っているのが京都である。「始末(しまつ)」ということばがあるが、単なる節約を超えて、モノを最後まで使い切ることであり、その裏側にはいただいたモノへの感謝、自然への感謝の気持ちが込められている。そして、「始末」には創意工夫・知恵そのもでもある。誰でもが知っている、「にしんそば」も「鯖寿司」も、内陸である京都が生み出した美味しくいただく生活の知恵・文化である。もう一つ素晴らしいのが、季節、祭事、といった生活カレンダー(旧暦)に沿った暮らし方をしており、「ハレ」と「ケ」というメリハリのある生活を楽しんでいる点にある。京都をLOHASの代表としたが、こうした風土に沿った固有の文化ある暮らしは地方を歩けばいくらでもある。好きな沖縄には、今なお沖縄らしさが残っている糸満では、漁師料理である「バクダン」があり、鳥取米子には鯖のぬかずけ「へしこ」がある。数ヶ月前、アエラの特集にLOHASの知恵は名古屋に学べという記事があったが、まるで分かっていない。地方には京都でいう「始末」という知恵ある生活文化があり、ロハスクラブは「ソトコト」を通じて、宝の知恵を集め公開することに再シフトしなければならないと思う。「地方」が困っているのは、今ある商品へのもう一工夫、都市生活者へのプレゼンテーションが分からないだけである。デザインコンペティションもこうした中で進めればよい。地域格差が問われ、地域活性が求められている今、地方に埋もれた知恵ある商品や暮らし、あるいは人をLOHASという旗印のもとに集め公開し、再スタートすることこそ、LOHASコンセプトであると思う。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 09:46Comments(0)新市場創造