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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年10月28日

次の物語消費へ

ヒット商品応援団日記No214(毎週2回更新)  2007.10.28.

一年ほど前、少し早いかなと思ったが「サプライズの終焉」というテーマで書いた。その後も「やらせ」は横行し、猫だましのような驚きの中で情報の確かさを見ていたが、度重なる偽装という情報の学習によって情報の時代の本質が分かって来た。「発掘!あるある大辞典」を持ち出すまでもなく、エステで使われていた足湯まがいのデドックス商品の嘘。比内地鶏どころか、卵を産めなくなった鶏の薫製鶏肉の販売。ミートホープ社、白い恋人、赤福、ここ数ヶ月でどれだけの偽装・偽造が発覚したか。産地偽装は宮崎県産鰻ばかりか、品種が異なる名古屋コーチンまでもがスーパーで売られ、最近では「これで1日十分ではない野菜ジュース」がヒット商品になっていた。嫌なことだが、更にこれからも続々と偽装・隠蔽事件は出てくると思う。

情報の時代の特徴であるが、情報はモノ価値から離れ一人歩きし、しかもエスカレートしていく宿命・本質を持っている。その代表が都市伝説や神話、あるいはデマ・風評である。今回の亀田(次男)の反則試合を見て、実力(価値)から離れ一人歩きしたヒール(悪)物語がいかに実際の試合で弱かったかを実感したことと思う。演じるパフォーマンスが大きければ大きいほど、負ければ振り子は反対側へと大きく振れる。無敗神話物語の崩壊である。
膨大な情報の中での競争である。あっと驚かせない限り、伝わらないと誰もが思っている。しかし、そうした側面を持ってはいるが、全く逆に「世界の中心で愛を叫ぶ」における柴咲コウの書評や「電車男」におけるネットでの書き込み、あるいは多くの口コミといった方法によってヒット商品は生まれている。

誰も指摘はしていないが、情報は極めてなくてなならない役割を担っている。よく経済にとってお金は血液のようなものと言われているが、情報も血液と同じである。もっと分かりやすく車の運転に例えると、お金はガソリンであり、情報はハンドルとなる。かってにハンドルを操作する嘘、虚偽、偽装、隠蔽は重罪との認識、法もそう整備されなければならない時代だ。
随分昔のように思えるが、ライブドアが仕掛けたフジテレビの買収事件で「白馬の騎士」として現れたSBIホールディングスCEO北尾吉孝氏の言葉を思い出す。ライブドアが行った株の大量分割による株価引き上げは一種の悪用した操作であり、市場は公共財という原則に反するという言葉だ。情報が命である株式市場ばかりでなく、全てのビジネスが虚を排除した公たらねばならないということである。そのためにも情報の公開は大原則となる。

ところで、こうした情報による虚構の物語、過剰な刺激、偽装物語に多くの生活者は辟易となっている。数年前まではTVを見ながら、時に評論家になったり、裁判官になったり、ある時は弁護人という観客になっていたが、そうした過剰な物語が演じられる劇場は実は幕が下りているのだ。昨年、お笑い番組を始めメディアに出続けていたレイザーラモンHGはどこにいったのであろうか。フィクションからノンフィクションへ、過剰なサプライズ物語から日常のリアル物語へと質的転換が始まっている。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:22Comments(0)新市場創造