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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年10月07日

トレンドの発見と継続

ヒット商品応援団日記No208(毎週2回更新)  2007.10.7.

トレンドの発見とその成長継続、ほとんどのビジネスマンが抱え、しかも答えの出せないテーマである。トレンドとは流行、潮流、傾向といったライフスタイル上のことを指した言葉であるが、新しいトレンドの芽を発見することと共に、そのトレンドをいかに発展継続させるかがビジネスの最大課題となっている。ここ10年前まで、私自身もそうであったが、マーケッターの多くはイノベーター理論という物差しで市場の変化推移を見て来た。(ウイキペディアの流行/イノベーター理論を参照してください)その時のマーケティングの中心は、トレンドという新しい芽(イノベーターやオピニオンリーダー)はどこに隠れているか、それは一つの潮流として広がるであろうか、ということが中心であった。しかし、最近ではこうした物差しがあてはまらないケースが続々と出て来た。特に、アパレルファッションを始めとした情報商品がそうでエゴイストの鬼頭さんを取材した折、ほとんどがこの難しさについてであった。トレンドはほとんどがブーム、一過性のものとなり、商品のライフサイクルは時を追う毎に短くなって来た。エゴイストは売るのを押さえ、新しいブランドの創造へと向かったことにより、ブームという問題を解決した。

情報商品の多くは1980年代に生まれている。1970年代ではあるがサンリオのハローキティをスタートにビックリマンチョコもそうであるし、ブランドという言葉が広く一般化したのもこの頃である。生きるに必要な必需消費から、個々の欲望に沿って生活をイキイキとさせたり、ゲームといった遊びに価値を求めたりする選択消費が始まった。その延長線上に個性化、多様化、選択主体が大きく顧客に移り、その消費の最初は団塊ジュニアであった。モノ不足を終え、自分の好みというものを自ら探し歩き見つける行動に出た最初の世代だ。その消費行動は後にセレクトショップというキーワードと共に、社会の舞台にあがった。代官山や裏原宿の小さなマンションメーカーの商品やヨーロッパで仕入れた商品を好みに従ってセレクトした訳である。

つまり、メディアの発展=伝わる情報スピードと併行するように、情報に価値を置いた商品は急速に拡大し、そして瞬時に消滅するということだ。既に死語となったが、ドッグイヤーのように6倍速で成長&死滅するということである。そして、次から次へと新商品という変化と鮮度を導入しなければならないのが今である。
また、個性化、多様化という言葉が表しているように、多くのトレンドマーケットの規模は小さくなった。一言でいうと、小さく早くである。コンビニの棚を見続けていけば分かると思う。約1年半ほど前に、思い出消費というキーワードでこのブログに書いたことがあった。団塊世代だけでなく、中高生においてもそうした消費はあり、給食で出された揚げパンを取り上げたことがあった。当時はコンビニの棚にあったが、既に他の商品に変わっている。

こうした事例で今後どうなっていくか注目したい商品がある。和の中に洋を取り入れ急速に多店舗展開し、コムサイズムともコラボレーションしているMOCHI CREAMなんかはこのパターンに酷似している。まさに6倍速以上のスピードで都市部を開拓しているのだが、その特徴は小さな店舗、小さな商品、小さな価格、少ないスタッフで運営している専門店業態である。今後のMD開発を見てみないと分からないが、現状の商品構成であと数年成長できるかと言うと疑問に思える。場合によっては6倍速で落ち込むということだ。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:47Comments(0)新市場創造