2007年09月12日
コラボ新時代
ヒット商品応援団日記No201(毎週2回更新) 2007.9.12.
サントリーと千疋屋のコラボレーションブランド「銀座カクテル」の発売に続いて、アサヒとカゴメによるトマトカクテル「トマーテ」が発売された。元々、コラボレーションはミュージシャンを始めとしたアーチスト相互による共同作業的なものが多かったが、ここ1年ほどいわゆる食品や飲食における本格的なコラボレーション商品が生まれて来た。
確か1年半ほど前であったと思うが、あの羊羹の虎屋と長崎カステラの福砂屋によるコラボ商品が東京渋谷東急フードショーの周年企画として実施され、あっという間に売り切れたことを思い出す。いわゆるロールケーキであるが、虎屋の羊羹を真ん中に側のスポンジは福砂屋といった老舗同士によるコラボ商品である。ブランドとブランド、老舗と老舗、主力商品と主力商品、従来発想されて来た相互補完的なコラボから、相互の特徴を出し合うことによって新しい「何か」を創るといった本格的なブランド創造への試みが始まったということだ。
今、こうした本格的な商品開発と共に、コラボを前提とした新しい業態に注目が集まっている。その代表がカフェ業態の「トラベルカフェ」(http://www.travelcafe.co.jp/shop/ )である。トラベルと称してはいるが、目的や立地に応じて多様なコラボを実施している。例えば、ラゾーナ川崎には大阪から首都圏初進出の堂島ロールで人気の「モンシュシュ」とトラベルカフェとのコラボ業態。あるいはHMVに併設したカフェは「トラベルカフェミュージック」として音楽を楽しめるカフェ業態といった具合に自在なコラボ業態となっている。
こうしたコラボは更に増えていくと思っている。つまり、従来は××業界という狭い市場の中での競争であったが、多くの企業がそうした壁を取払った広い市場を考えるようになったからだ。壁を取り払ったところには新しい市場があると確信しているとも言える。つまり、既に顧客自身がそのように変わってしまっているということでもある。同じようにいつもある商品・お店、安心と信頼はあるが、それだけでは満足しないのが顧客市場である。顧客が求めているのは、小売りの本質である市場の賑わい、そこにあるのはいつもとは違う小さな変化ということだ。
過去、多くのNO1同士によるコラボ商品やショップが生まれては撤退して来た。特に、百貨店や大手商業施設のデベロッパーが仲介者となり、一つのコンセプトに基づいた編集によるコラボであった。しかし、そうした編集能力は顧客自身が既に持ってしまっている。もし、コラボへの顧客期待があるとすれば、1+1=2といった市場創造ではなく、1+1=∞という可能性創造、新市場創造を目標としたコラボレーションとなる。さて、従来の日本茶飲料市場において新市場を創造しパイを拡大した伊右衛門のように、銀座カクテルとトマーテは低迷するソフトアルコール飲料市場に対し、新市場を創造できるか注目していきたい。(続く)
サントリーと千疋屋のコラボレーションブランド「銀座カクテル」の発売に続いて、アサヒとカゴメによるトマトカクテル「トマーテ」が発売された。元々、コラボレーションはミュージシャンを始めとしたアーチスト相互による共同作業的なものが多かったが、ここ1年ほどいわゆる食品や飲食における本格的なコラボレーション商品が生まれて来た。
確か1年半ほど前であったと思うが、あの羊羹の虎屋と長崎カステラの福砂屋によるコラボ商品が東京渋谷東急フードショーの周年企画として実施され、あっという間に売り切れたことを思い出す。いわゆるロールケーキであるが、虎屋の羊羹を真ん中に側のスポンジは福砂屋といった老舗同士によるコラボ商品である。ブランドとブランド、老舗と老舗、主力商品と主力商品、従来発想されて来た相互補完的なコラボから、相互の特徴を出し合うことによって新しい「何か」を創るといった本格的なブランド創造への試みが始まったということだ。
今、こうした本格的な商品開発と共に、コラボを前提とした新しい業態に注目が集まっている。その代表がカフェ業態の「トラベルカフェ」(http://www.travelcafe.co.jp/shop/ )である。トラベルと称してはいるが、目的や立地に応じて多様なコラボを実施している。例えば、ラゾーナ川崎には大阪から首都圏初進出の堂島ロールで人気の「モンシュシュ」とトラベルカフェとのコラボ業態。あるいはHMVに併設したカフェは「トラベルカフェミュージック」として音楽を楽しめるカフェ業態といった具合に自在なコラボ業態となっている。
こうしたコラボは更に増えていくと思っている。つまり、従来は××業界という狭い市場の中での競争であったが、多くの企業がそうした壁を取払った広い市場を考えるようになったからだ。壁を取り払ったところには新しい市場があると確信しているとも言える。つまり、既に顧客自身がそのように変わってしまっているということでもある。同じようにいつもある商品・お店、安心と信頼はあるが、それだけでは満足しないのが顧客市場である。顧客が求めているのは、小売りの本質である市場の賑わい、そこにあるのはいつもとは違う小さな変化ということだ。
過去、多くのNO1同士によるコラボ商品やショップが生まれては撤退して来た。特に、百貨店や大手商業施設のデベロッパーが仲介者となり、一つのコンセプトに基づいた編集によるコラボであった。しかし、そうした編集能力は顧客自身が既に持ってしまっている。もし、コラボへの顧客期待があるとすれば、1+1=2といった市場創造ではなく、1+1=∞という可能性創造、新市場創造を目標としたコラボレーションとなる。さて、従来の日本茶飲料市場において新市場を創造しパイを拡大した伊右衛門のように、銀座カクテルとトマーテは低迷するソフトアルコール飲料市場に対し、新市場を創造できるか注目していきたい。(続く)