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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年01月17日

暗黙知「失敗」の継承

ヒット商品応援団日記No132(毎週2回更新)  2007.1.17.

今年は「2007年問題」という団塊世代の定年退職が始まる年である。30〜50兆円とも言われている退職金争奪戦は金融関連市場では既に始まっているが、その消費面についても1年近く前に取り上げたのでここでは団塊世代が経験から得た「こつ」「感」「技術」、暗黙知について私見を書いてみたい。暗黙知が注目され始めたのは、10年近くになるが、大量生産大量販売という工業化社会の時代から、次の時代、個人の欲求が多様になる時代と共に表れたキーワードである。今まではマニュアル通りに、いかに大量に安く作り大量に販売するかが課題であったが、周知の通り個人の多様な欲望欲求をていねいに答えるモノづくり、サービスが必要となった。そのためには経験則やそれに基づく感、技、知恵、アナログ感性という「見えないもの」が必要となる時代を迎えたからである。
既に数年前から製造現場ではこの暗黙知のバトンタッチが行われている。1つの方法は経験則をマニュアル化、データベース化する方法と若い世代を丁稚奉公のように学ばせる方法である。そもそもビジネスは丁稚奉公であると言ったのはP.ドラッカーであるが、日本の就労人口の70%以上を第三次産業が占めており、ホワイトカラーあるいはサービス従業者の「現代の丁稚奉公」が求められている。また、一方ではホワイトカラーエグゼンプションという時間労働ではなく、知恵やアイディアを生かした成果主義の考え方も出て来ている。このホワイトカラーエグゼンプションは別なテーマとして取り上げるつもりであるが、ホワイトカラーと言えども従来の総務や人事での単純集計業務などは既に安いコストのインドなどへアウトソーシングされており、本格的な知価社会が到来している。

さてこの知価社会における暗黙知の継承という課題であるが、一番継承しなければならないのが「失敗の継承」だと思っている。ビジネスが順調に進んでいる時には「失敗」は学べない。そして、失敗している時にも失敗を学べないものである。何十年という時間の中で多くの経験を積んで来た暗黙知には多くの「失敗という宝物」があると思っている。若い世代にとって唯一持っていないのがこの「失敗経験」である。私はこの失敗という暗黙知の継承には、2つの方法があると思っている。1つは「チーム」という考え方・方法である。プロジェクトチーム単位といった方が分かりやすいと思うが、各々が固有の専門分野を持ち、情報共有しながら、相互補完し合いながら「コト」を進めていく方法である。チームという多様な意見に基づくというリスクヘッジと共に、情報共有・相互補完という「場」こそが良き学習&経験となる。勿論、仲良しクラブのようなチームではない。チームリーダーが抜けてもそのチームから次のリーダーが自然と生まれてくる。こうした企業風土、ナレッジマネジメントを可能にしているのが、今なお成長し続けている渋谷109のファッション専門店である。
もう一つの方法は教育であるが、一般的な教育ではなく、「塾」といった小さな単位、しかも単なる技術学習ではなく、「失敗体験」の裏側にある精神、気持ち、心構え、といった生き方学習という方法である。リスクマネジメントとよく言われているが、小さな失敗体験こそが重要で、そのことこそ継承されなければならない。これが「現代版丁稚奉公」であると思う。そして、往々にしてこの失敗からヒット商品や新しい技術が生まれてくる。(続く)

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