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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2008年07月20日

ホームグランド回帰

ヒット商品応援団日記No284(毎週2回更新)  2008.7.20.

ここ2ヶ月ほど、ガソリンや原材料高による消費者の価格への目、あるいはこうした物価高騰などの変化がどんなライフスタイルへと変えていくのか、自己防衛市場について書いてきた。ちょうど良いタイミングで日経新聞による消費者調査結果が7月18日の日経MJ(http://www.nikkei.co.jp/mj/)に載っていたので、その記事を踏まえてこれからの消費動向について私見を書いてみたい。

ある意味自己防衛市場を生活面で数字化したものであるが、1年前と比較して支出を抑えたもののNO1は外食であった。その外食を減らしたとする生活者は車保有者52%、非保有者40.9%となっている。車保有者が次に減らしたのが当然ドライブなどであるが、非保有者を含めると衣料品が支出を減らした二番目となっている。以下、靴や身の回り品、食品、携帯など通信費・・・・このように生活全般に渡る支出の切り詰めとなっている。入り口はガソリン高騰であるが、景気後退期のパターン通りとなっている。
車保有者が支出を控えた理由は、ガソリンの値上げ35.3%を筆頭に、収入の減少24.8%、食品の値上げ19.6%、となっている。ある意味、家計の複合不況とでも呼べる情況といえよう。

もう一つ面白い設問がある。それはガソリン高騰で、いくらになったら車を乗るのをやめるかという設問である。1ℓ250円を超えたら車にのるのをやめると答えた人は全国平均では37.5%、三大都市圏では45%超となっている。当然であるが、車離れは都市から始まり、1ℓ250円を超えたら極論ではあるが車保有は半減するということだ。GSもセルフ式が多数を占め、旧来のようなカフェ併設程度の顧客サービス業態では成立できないということだ。車の保有は、車の使用へと変わり、共同利用・カーシェアリングといった新しい利用システムやレンタルシステムが都市部郊外から始まるであろう。

今回の調査では若干ライフスタイルについても触れられている。休日の過ごし方についてであるが、「休日は自宅で」と答えた人は37%、PCやテレビ視聴へと続く。つまり、ほとんどの人が家庭内で過ごしているということである。休日は生活者にとって、一番自由にやりたいことを可能とした時間である。調査結果は、私が過去指摘してきたように、外から内へ、行動範囲は極めて小さくなった。車という道具は、生活自由度の広がりの一つの目安である。今年の夏の旅行は、安・近・短と指摘したが、生活という視点に立つと、家庭内、ホームグランド、ご近所、通い慣れた、使い慣れた、生活慣れ親しんだ場所に戻ったということだ。それを家庭回帰といっても良いし、ホームグランド回帰といってもかまわない。

消費という視点に立つと、以前事例として挙げた家庭菜園を始め、ホームクリエーターといった「手作り」アイテムが更に着目されるであろう。家庭内料理であれば、現在は子供向けであるが、本格的なパンづくりといった素材と道具が売れるであろう。ホームソーイングやDIY的なものも流行ると思う。ある意味、家庭の内側への進化・深化が進むということだ。
もう一つの特徴はキーワードとしていうと「省」の徹底となる。省エネ製品はもとより、省時間、省スペース、といった新たな暮らし方が選ばれると思う。省は小というキーワードに変えてもかまわない。ライフスタイル的にいうと、付け加えてきた多くのものを削ぎ落とし、求める機能や用途のみだけを取り入れるシンプルライフである。

こうした商品は省エネのような新技術によるものと思われがちであるが、2年ほど前から静かなブームとなっている土鍋炊飯なんかも省エネ商品であるし、昨年冬の湯たんぽなんかも同様である。OLD NEWという着眼は単なる若い世代への目新しさだけでなく、実利を伴うものだ。こうした「和」の知恵を掘り起こす活動も盛んになるであろう。
美食は素食(もとしょく)へと変わる。ハレの日は少なくなり、ケの日々となる。消費は更に縮小へと進み、その差は貯蓄へと向かうということだ。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 14:18│Comments(0)新市場創造
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