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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年01月07日

埋もれた生活文化への着目 

ヒット商品応援団日記No129(毎週2回更新)  2007.1.8.

昨年流行語大賞となった「品格」の口火をきったのが藤沢正彦さんが書かれた「国家の品格」であった。このベストセラーもさることながら、昨年後半からは書店には国家論や日本文化論の書籍コーナーが作られた。また、安倍政権誕生や憲法改正といった論議の延長線上にある国家論が政治の世界でも一斉に語られ始めた。一方、ビジネス現場はグローバル化しており、中国やインドあるいは米国といった国への出張は日常となっている。当然の如く、文化の違いを実感することとなる。グローバル化すればするほど、「国って何?」ということが一人ひとりに向かってくる。否応なく、日本、日本文化について考えざるを得なくなっている。

昨年までの消費の根っこには「私」があり、このブログでもマイブームや私生活物語について書いて来た。戦後初めて「私って何?」と自己のアイデンティティをテーマにしたのは作家三田誠広さんの「ぼくって何?」であったと思う。しかし、私探しという言葉に代表されるように、全てを「私生活」への向上=豊かさへと閉じ込めてしまった。今、この「私」が「公」、つまり社会との間で大きな溝が生まれたことに気づき始めた。昨年の「騒音おばさん」や「ゴミ屋敷問題」はそうした気づきを加速させた。公、社会を大きく広げれば国となる。私と国というテーマが更に具体的になってくる。年頭のブログでは「生」の時代に向かうと書いたが、「私」を突き詰めていくと「生」というテーマに行き着く。もう一つのテーマが「国」となる。ただ、否応なく国を意識せざるを得なくなるのがグローバル化である。つまり、「日本という国って何?」が消費においても様々な形で出てくると言うことだ。逆輸入という言葉があるが、外国から指摘されて、国や文化を意識することとなる。今話題の世界の日本食レストランなども、日本人が知らないうちに米国の2005年度のデータでは9000ほどの日本食レストランが既に存在している。イタリアミラノでは禅(ZEN)がブームとなっている。周知の通り、既に10年以上前から、アニメ、漫画は世界中に行き渡っている。知らないのは日本人だけである。

昨年、このブログで取り上げた「えんぴつで奥の細道」が100万部に迫るベストセラーになった。足下にある文化、過去だけでなく現在の文化を見つめ直す傾向は一層高まっていく。何回か取り上げた、「路地裏ブーム」は「路地裏文化ブーム」へと進化していくということになる。つまり、路地裏に潜む生活文化への注目ということだ。地域活性、コミュニティの再生が叫ばれているが、今なお続いている生活文化をどのように消費の舞台へと上げていくのか、2007年以降の大きなビジネステーマになる。一昨年、東京丸の内にオープンしたTOKIAビルには「赤垣屋」に代表される大阪や京都、あるいは地方の都市生活者の誰も知らない飲食店が次々と進出してきた。生活文化の浸透には「飲食」が一番分かりやすい。これからも飲食店など「食」に関する文化進出が続くと思うが、食以外の生活文化が進出、注目されていく。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:37│Comments(0)新市場創造
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