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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年12月16日

3つのメガ・トレンド

ヒット商品応援団日記No227(毎週2回更新)  2007.12.16.

心が向かう先、メガ・トレンドは3つある。1つは自然・健康である。2つ目は家族・絆であり、3つ目は日本の歴史・文化であると考えている。全て工業化・近代化によって失ったものである。勿論、便利さや快適さ等工業化・近代化によって得たものも大きい。しかし、あらゆる分野で「依存症」といった言葉に見られるように、行き過ぎた過剰な傾向が多発してきた。例えば、この揺れ戻しの一つが振れ過ぎた洋からの和回帰・和ブームである。

「自然・健康」においては和食への注目は更に精進料理へとつながっていく。また、埋もれた地方の食にもスポットが当たると思う。2007年は食品偽装の一年であったが、自己防衛と楽しみを兼ねた家庭菜園熱は更に高まる。自然の持つ生命力、酵素を生きたまま食べる(火を使わない)「リビングフード」なんかも流行っていくと思う。単なる癒しを超えた、自然の持つ治癒力に心と身体をゆだねるような新しいツアーなんかも流行るかもしれない。今年注目された山梨の「ほったらかしの湯」のように、満天の星空のもとでの露天風呂のように、「ザ・自然」とでも言うような未知なる体験をさせてくれるようなものに注目が集まるだろう。
十数年前にホースセラピーから始まったアニマルセラピーはペットブームへと発展し、今や都心にはドッグラン専用の施設ができている。悪徳ブリーダーや動物病院も社会問題化した一年であったが、これからも人間と同様の衣食住遊休知美といったペット市場が生まれてくる。

2つ目の家族・絆であるが、前回書いたように崩壊した「家族」をつなぎ直す動きが様々なところで出て来ている。住においては家族共有のスペース、互いに顔が見えるような空間配置、つまりコミュニケーションできるような住まい方である。個という単位から、家族単位への揺り戻し、注目された一年であった。今年のヒット商品番付横綱となったWiiも家族や仲間と遊べるソフトによるものが大きい。ファミレスを始めとした飲食サービスにおいては幼い子供が騒いでも迷惑かけないような個室が用意され、親子三世代ツアー人気や「家族割り」といったプロモーションもこうした家族単位ビジネスを後押しした。
今年の福袋には百貨店の店長体験や農業体験といった「体験型商品」が見受けられたが、キッザニアの成功によるところが大きい。子を産んだだけで親にはなれない。育てようにも昔のように祖母というお手本が無い時代である。徹底的に失ってしまったのが「体験学習」の場と方法である。元リクルートの藤原さんが杉並の和田中学で行っているのも「親子一緒」による社会学習である。家族というテーマに関わらず、体験学習という方法と場は今後も強く求められていく。

3つ目の歴史・文化については和回帰・和ブームを兼ねてこのブログでも数多く書いて来た。停滞しどこに向かえば良いのか分からない時代、そんな時代を踊り場と私は表現してきた。過去はどうであったか遡ることは至極自然なことだ。禅や般若心経への注目や四国遍路、熊野古道、更には1000年前どのようにつくられたか分からない急峻な山の斜面にある修験道鳥取三徳山三佛寺も注目された。踊り場からの視座、日本古来の精神世界から何かを得ようとする心であろう。
ところで今年の「新語・流行語大賞」に東国原知事の「どげんかせんといかん」が選ばれた。時代の踊り場を脱却しなければとの意味であるが、実は方言である。以前、標準語と方言について書いたことがあったが、方言は地方文化そのものであり、地方の時代を支えるものだ。今、埋もれた地方の商品に注目が集まっているが、実は地方文化に注目が集まっていると認識しなければならない。文化の奥に潜む精神世界もまた掘り起こされていくと思う。都市と地方の格差が言われているが、敢えて誤解を恐れずに言うと、都市にはモノの豊かさはあっても心の豊かさはない。逆にモノは乏しくとも豊かな心性世界は地方に今なお残っている。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:26│Comments(0)新市場創造
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