2007年12月09日
2007年ヒット商品を読み解く(2)
ヒット商品応援団日記No225(毎週2回更新) 2007.12.9.
前回に引き続き、もう少し2007年のヒット商品について読み解いてみたい。「2007年度新語・流行語大賞」には私の予測「KY(空気が読めない)」は大賞を逃したが、「ハニカミ王子」が選ばれた。ちょうど1年半ほど前に甲子園で活躍した「ハンカチ王子」を取り上げて書いたが、その潮流にこの「ハニカミ王子」もある。更に遡れば、「韓流ブーム」における「白馬の王子さま」のような一つの精神性、純粋、無垢なものへの願望を読むことができる。世俗にまみれた、というより「アンチヒール(悪役)」と言った方が分かりやすい。消費面でいうと、ピュアコンセプトの世界である。このピュアコンセプトとは、過剰なものを削り、更に削ぎ落とし残るもの、という意味である。シンプル・イズ・ベストと言っても良い。食でいうと、素材を生かす、塩味だけ、手をかけない、ある意味本質・本当に戻ろうという潮流である。
関脇にガツン系を始めとした「デカ盛りフード」がある一方、「カロリー・ゼロ・コーラ」に人気が集まる。ダイエットでは、周知のかなりハードな「ビリーズブートキャンプ」がブームになった一方、楽して痩せる「ぷるぷるフィットネス」の手軽さが人気となる。こうした価値観の反対軸にあるような商品が売れる市場の情況を私は「振り子消費」と呼んでみた。行ったり来たり振り子のように触れる心理市場であるが、この振り幅はブログでも書いたが年々小さくなって来ている。例えば数年前にダイエット&美容のためにサプリメント依存症が問題となるような過剰さはなくなり、今ではコラーゲンのようなものへとトレンドは移行してきているということである。
日経MJとは少し離れるが、情報の時代の最大特徴である情報による偽装事件が多発した年であった。関西テレビ「発掘!あるある大辞典」のやらせ問題以降、特に食品において多発した。そのほとんどが内部告発によるものであったが、内と外との垣根が情報によって無くなったということである。これは数年前から表通りから裏路地散策へ、一般的な名所旧跡団体観光から隠れ家的一人旅へといった裏が表となる興味変化にも通じるものである。更にいうと、表メニューからまかない料理といった裏メニューへの関心にも通ずるものである。つまりあらゆる垣根、境を越えてその先へ、その奥へと興味関心を喚起してしまうのが情報の時代と特徴である。
先日鳥取に行きアンテナショップの検討部会でも話題になったが、ギャル曽根が出たTV番組で今流行のランキングにおいて鳥取県の「鬼太郎の好きなビーフカレー」がレトルトカレーで1位になった。放映後問い合わせが殺到し、在庫は一掃し、生産が追いつかない情況が生まれたとのこと。これも情報の時代ならではの現象である。但し、何回も書くがブームは一過性であり、継続させていくことが重要となる。次から次へと新たな情報を提案し続けない限り、継続できないということだ。例えば、数年前から鍋に人気が集まっており、今注目されているのがカレー鍋である。もし「鬼太郎の好きなビーフカレー」に続く情報=新商品があるとすれば、「鬼太郎の好きなカレー鍋」を販売するということである。
少し前に景気は更に低迷し、消費は厳選から減選へと向かっていくと書いたが、回数減となっていた外食産業の中で、一人減少傾向になかったファーストフードも減選へと向かっている。相次ぐ食品偽装事件により、今年の歳暮贈答品に占める食品の比率は下がるであろう。1992年にバブルが崩壊した時、残業カットで「父帰る」というキーワードが流布し家庭内調理の味噌や醤油が飛ぶように売れたが、10数年を経過今日はさてどうであろうか。(続く)
前回に引き続き、もう少し2007年のヒット商品について読み解いてみたい。「2007年度新語・流行語大賞」には私の予測「KY(空気が読めない)」は大賞を逃したが、「ハニカミ王子」が選ばれた。ちょうど1年半ほど前に甲子園で活躍した「ハンカチ王子」を取り上げて書いたが、その潮流にこの「ハニカミ王子」もある。更に遡れば、「韓流ブーム」における「白馬の王子さま」のような一つの精神性、純粋、無垢なものへの願望を読むことができる。世俗にまみれた、というより「アンチヒール(悪役)」と言った方が分かりやすい。消費面でいうと、ピュアコンセプトの世界である。このピュアコンセプトとは、過剰なものを削り、更に削ぎ落とし残るもの、という意味である。シンプル・イズ・ベストと言っても良い。食でいうと、素材を生かす、塩味だけ、手をかけない、ある意味本質・本当に戻ろうという潮流である。
関脇にガツン系を始めとした「デカ盛りフード」がある一方、「カロリー・ゼロ・コーラ」に人気が集まる。ダイエットでは、周知のかなりハードな「ビリーズブートキャンプ」がブームになった一方、楽して痩せる「ぷるぷるフィットネス」の手軽さが人気となる。こうした価値観の反対軸にあるような商品が売れる市場の情況を私は「振り子消費」と呼んでみた。行ったり来たり振り子のように触れる心理市場であるが、この振り幅はブログでも書いたが年々小さくなって来ている。例えば数年前にダイエット&美容のためにサプリメント依存症が問題となるような過剰さはなくなり、今ではコラーゲンのようなものへとトレンドは移行してきているということである。
日経MJとは少し離れるが、情報の時代の最大特徴である情報による偽装事件が多発した年であった。関西テレビ「発掘!あるある大辞典」のやらせ問題以降、特に食品において多発した。そのほとんどが内部告発によるものであったが、内と外との垣根が情報によって無くなったということである。これは数年前から表通りから裏路地散策へ、一般的な名所旧跡団体観光から隠れ家的一人旅へといった裏が表となる興味変化にも通じるものである。更にいうと、表メニューからまかない料理といった裏メニューへの関心にも通ずるものである。つまりあらゆる垣根、境を越えてその先へ、その奥へと興味関心を喚起してしまうのが情報の時代と特徴である。
先日鳥取に行きアンテナショップの検討部会でも話題になったが、ギャル曽根が出たTV番組で今流行のランキングにおいて鳥取県の「鬼太郎の好きなビーフカレー」がレトルトカレーで1位になった。放映後問い合わせが殺到し、在庫は一掃し、生産が追いつかない情況が生まれたとのこと。これも情報の時代ならではの現象である。但し、何回も書くがブームは一過性であり、継続させていくことが重要となる。次から次へと新たな情報を提案し続けない限り、継続できないということだ。例えば、数年前から鍋に人気が集まっており、今注目されているのがカレー鍋である。もし「鬼太郎の好きなビーフカレー」に続く情報=新商品があるとすれば、「鬼太郎の好きなカレー鍋」を販売するということである。
少し前に景気は更に低迷し、消費は厳選から減選へと向かっていくと書いたが、回数減となっていた外食産業の中で、一人減少傾向になかったファーストフードも減選へと向かっている。相次ぐ食品偽装事件により、今年の歳暮贈答品に占める食品の比率は下がるであろう。1992年にバブルが崩壊した時、残業カットで「父帰る」というキーワードが流布し家庭内調理の味噌や醤油が飛ぶように売れたが、10数年を経過今日はさてどうであろうか。(続く)
失われた30年nの意味
マーケティングノート(2)後半
マーケティングノート(2)前半
2023年ヒット商品版付を読み解く
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半
マーケティングノート(2)後半
マーケティングノート(2)前半
2023年ヒット商品版付を読み解く
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半
Posted by ヒット商品応援団 at 13:18│Comments(0)
│新市場創造