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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年11月21日

創業の時代 

ヒット商品応援団日記No220(毎週2回更新)  2007.11.21.

鳥取の産業活性、特に都市市場をどう開拓していくかの委員をしているので2ヶ月に1度位の頻度で鳥取に行っている。先日も鳥取へ出かけたのだが、ちょうど梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」(ちくま新書)が発売されていたので、飛行機の中で、列車の中で読んでいた。「ウェッブ進化論」の完結編ということからもわかるように良く整理されていた。その整理軸は2つ、「いかに働き、いかに学ぶか」という生き方を据えている。
梅田さんは「あとがき」でこのように書いている。「レールがあると思っていても、実はそのレールがどこまで続いているかなんて誰にもわからない時代である。迷ったとき悩んだときには、時代の大きな流れに乗った新しいことにあえて巻き込まれてみる、・・・・・変化の激しい時期ならではのそんな生き方も、あんがい自由で楽しいものだ」

今回鳥取に行ったのは「アンテナショップ検討部会」という都市市場開拓の会議の他に、もう一つ小さな目的があった。それはTVでも取り上げられたのだが、鳥取はカレーのルウの消費量が全国一で、ユニークなカレーがあり、是非食べてみたかった。江戸時代からランキングは盛んであったが、地方にはこうした埋もれたニュースがふんだんにある。周知のように札幌の一軒家から口コミで広がったのがスープカレーである。カレーはラーメンと共に、日本固有の文化食になっている。ところでそのカレーを食べさせてくれたのが「みかん亭」(http://syouwayousyoku.blog.hobidas.com/)という店だ。オーナーシェフと名刺に書いてあったが、まだ若い修行中の青年漆原さんがカレーを作ってくれた。真っ黒なカレーで、決してたまねぎだけによるものではない。聞けば、鳥取の名産イカのスミを入れた真っ黒なカレーであった。少しスパイスが効き過ぎて、イカスミ本来のこくが若干少ないと感じたが、美味しいカレーであった。お邪魔したのが日曜日の夜ということもあり、街の目抜き通りはシャッター通りと化し、ほとんど人通りはないという地方都市の典型ともいえるところで店を開けている。本当は鳥取市内ではなく、東京で自分の腕をいかしてみたいとその志しを語ってくれた。

ちょうど梅田さんの「ウェブ時代をゆく」を読んでいたので、2つほどサジェッションした。独自なカレー、特徴を際立たせるためのアイディアで、1つはイカスミを使ったカレー以外に鳥取名産のトマトを使ったカレーを作ってみてはというアイディアである。もう一つが、鳥取でもカレーで街おこしをしようと、カレー好きが集まってカレーの食べ歩きをしている。そうした小さな芽を育てるために、是非メンバーに食べ歩きブログを実施しなさいというサジェッションである。「みかん亭」がTV番組で紹介された後、真っ黒なカレーを食べに東北や千葉、あるいは愛知からお客さんが来ているという。情報の時代のビジネスにはテーマ集積が不可欠ということだ。

あのミシュランガイドの「東京版2008」が発表され、三ツ星レストランに8軒も選ばれたと報道された。パリでは10軒、NYではわずか3軒で、東京の食文化の高さが論じられているが、至極当たり前と思っている。このブログでも何度となく書いて来たが、例えば2005年度のデータであるが全米でジャパニーズレストランは9000軒を超えており、世界中が日本の食文化に注目しブームとなっている。つまり東京市場で勝ち抜くということは、パリでもNYでも地球都市で十分やっていけるということだ。そして、ウェッブの世界だけでなく、梅田さん流にいうならば「こちら側」でも志しをもった若い世代が動き始めている。先日、このブログでも書いた沖縄コザで音楽観光を立ち上げたリーダーの一人、Mr.スティービーもその一人である。時代の大きな変わり目とは、また創業期でもあるということだ。お金もなく、情報も乏しく、しかし志しと溢れるような情熱、それに共感する友がいる。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:33│Comments(0)新市場創造
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