プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
インフォメーション
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 16人

2006年10月18日

私のWeb2.0  

 ヒット商品応援団日記No108(毎週2回更新)  2006.10,18,

今年の春「ウェブ進化論」(梅田望夫著ちくま新書)を興味深く読んだ。多くの方も読まれていると思う。流通業は情報産業であらねばならないということはかねがね認識していたが、インターネット、Web上の分からなかったことがよく理解できる本であった。私はWebにおける技術者ではないので、著者の梅田さんのように直線的にWebによる変化という未来を想像することはできない。今、私はいみじくも直線的という形容詞を使ったが、どんなにテクノロジーが進化しても、それを使うのもまた人間であることを含め、こころまで100%管理(=検索)されることはないと考えている。特に、常に揺れ動く心理的市場下にあって、心を読み解くことは現時点では不可能だと思っている。しかし、この半年常にこの「ウェブ進化論」、というよりグーグルやアマゾン、あるいはYahooや楽天市場のことを考えてきた。梅田さんがWebの「こちら側」と「あちら側」とに分けて書かれている整理はよく分かるが、私自身はどちらかと言うと「こちら側」の人間である。テクノロジーの理解が遅れている私でも、Web上には既に独自の大きな「経済圏」という消費社会が出来ていること位は知っており、更に巨大化していくことも理解している。また、若い世代がチャレンジしようとしている世界であることも知っている。

丁度1年半ほど前、元ライブドア代表の堀江さんがニッポン放送株(フジテレビ)の買収における記者会見でWebの未来について語ったことが未だに忘れることができない。堀江さんは「テレビで放映されたタレントのつけている衣装など欲しいものがあればネットですぐ買うことができる」とTVメディアとネットとの融合を話していた。当時、私の感想は、そんなことは雑誌メディア(ペイドパブリシティ)でもどこでもやっていることであり、テレビでは未だやっていないだけで、そんな新しい発想でもビジネスモデルでもないと思っていた。しかし、梅田さんが書かれた「ウェブ進化論」を読んで、堀江さんとは全く正反対の世界、「あちら側」に未来を見ていこうとしていることが分かった。それはグーグルの考え方の世界と同じであると思うが、気になることが一つだけあった。その著書の中で電子メールというプライベートな通信の中にも広告を忍ばせようとするグーグルの考え方にふれて、「作業は全部コンピュータが自動的にやるんです。そのプロセスには人間は関与させません。悪いことをするのは人間でコンピュータではありません」とその考えを引用されている。極論ではあるが、人間は信頼できないが、インターネットという「向こう側」にある不特定多数無限大に対しては信頼、信奉できるという考え方である。

ところで、ここまでの不特定多数無限大への可能性追求とまではいかないが、こうした発想でアナログとして小売りをしている企業はある。私の知る限り、ロングテールにおける可能性をMDの中心に置いているのはジョイフル本田であろう。いわゆる専門量販のホームセンターであるが、”ジョイフル本田に無かったら他にはない”と言われるほど「死に筋商品」を集め、5円のビスのバラ売りをする会社である。ちょうどアマゾンが死に筋の書籍の可能性、ロングテールに着眼したことと発想は同じである。勿論、広域商圏とはいえ狭いエリアのジョイフル本田の店舗と全世界という不特定多数無限大の可能性の中でのアマゾンとは比較にはならないが、ロングテールによって生まれる「たった一人の顧客発見」と「その顧客満足の提供」という意味では同じである。「あちら側」の情報発電所という不特定多数無限大に開かれたゲートに入れば、個々の意志によって満足が得られる世界である。私に言わせれば、そこにあるのはインターネットの「あちら側」と目の前に顧客がいる「こちら側」の違いだけである。グーグル流に言えば、「こちら側」は「悪いことをする人間」がサービスをする可能性があるビジネスと言えよう。しかし、人の成長によって企業の成長を目指そうという企業もまた存在する。「悪いことをする人間」も、良いことをする人間へと変化するのもまた人間であると思っている。たった一人の顧客の心を動かすことを目標に、「こちら側」で理想を目指していくのが、私にとってのWeb2.0である。そうした理想をもった企業を10月末から訪問していくが、このブログでもまた紹介していきたい。(続く)

同じカテゴリー(新市場創造)の記事画像
2023年ヒット商品版付を読み解く 
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半
マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半 
春雑感  
変化する家族観 
常識という衣を脱ぐ
同じカテゴリー(新市場創造)の記事
 2023年ヒット商品版付を読み解く  (2023-12-23 13:30)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」後半 (2023-07-05 13:15)
 マーケティングの旅(1) 「旅の始まり」前半  (2023-07-02 14:01)
 春雑感   (2023-03-19 13:11)
 変化する家族観  (2023-02-26 13:05)
 常識という衣を脱ぐ (2023-01-28 12:56)

Posted by ヒット商品応援団 at 11:39│Comments(0)新市場創造
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
私のWeb2.0  
    コメント(0)