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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年09月02日

和の中心点

ヒット商品応援団日記No198(毎週2回更新)  2007.9.2.

私が書いたここ一年位のブログを読み返してみた。いくつかのパラダイム(価値観)に変化の芽が出て来ている。この十年ほどを失われた10年という言い方をマスコミはしてきたが、私の言葉で言うと、次へと進む「踊り場」のようなところに居ると思っている。この踊り場で繰り広げられている消費の出来事、その変化の傾向を少し読み解いてみたい。

1997年をピークに世帯収入は減り続け今日へと至る訳だが、そうした生活経済上の背景については「いざなぎ景気と格差意識」http://remodelnet.cocolog-nifty.com/remodelnet/2006/10/index.html)で述べたので省略するが、ここでの大きな変化と言えばIT技術を駆使したユニクロやマクドナルドに代表される「デフレ」の進行である。別な表現で言うと、世界の工場としての中国の本格的なスタートであり、生活の隅々までグローバリズムが浸透し始めたということだ。私の認識は1997年頃を境に「踊り場」へと進んで来たということである。この踊り場で繰り広げられて来たのが次のパラダイムを探し手に入れるための10年ということである。途中、1998年から2002年にかけて実施された規制緩和による社会的事件、耐震偽装やライブドア事件が勃発するのだが、この踊り場は混乱・混沌という側面も併せ持った場所であった。

ところで三越と伊勢丹を始めとした百貨店の再編・統合が最後の局面を迎えている。また、郊外型業態の家電量販最大手のヤマダ電機が池袋に出店し話題になったが、流通の動き・目指す方向は都心回帰と言われている。私の言葉だと中心回帰となる。モノを買い求める時代から、情報やサービスも買う時代の変化の先は、自ずと情報とサービスが集積する中心点に向かってくる。当然の如く、流通の出店先は中心部となる。そもそも百貨店の経営実態を見ていくと分かるが、そのほとんどが本店(中心点)による利益で経営しており、郊外や地方の店は赤字である。日本における流通の一方の雄であるイオングループ、特にジャスコは中心部への出店を考えていると思うが、中心部のテーマに沿った情報とサービスのMDがなされ次第、コトを起こすと思う。つまり、生活者も流通も中心点を目指し、「削ぎ落す」ことによって踊り場に立っているといっても過言ではない。

この生活者における中心点であるが、この10年、洋に偏り過ぎたライフスタイルから和への潮流が生活の多くに見られて来たことは周知の通りである。いわゆる和ブームであるが、このブームには従来の専門企業ではなく、異分野企業の参入も数多く見られた。例えば、食の分野、和菓子への参入には、洋菓子のパティシェやデザイン会社までもが参入している。勿論、和菓子においても洋的なロールケーキなどを作り、ほとんど境界はない。しかし、昨年位から中心点に至っていない和菓子店には淘汰が始まっている。単に、和を取り入れたり、和回帰すれば良いという時期は終えている。

和の生活が日常として残っている「和の中心点」である京都には観光客は増加し続けている。私が数年前から指摘しているように、和の香りを求めて路地裏へ、その奥へと足を伸ばすところまで進行している。生活の踊り場という言い方をすると、洋から和への揺り戻しという潮流にあるが、和もまた中心点へと向かっているということだ。和の中心点、和文化の中心点を見定めることがビジネス開発で最も重要なテーマとなっている。例えば、好きな沖縄でいうと、沖縄文化の中心点は何かを明確にすることだ。いくつかあるが、その一つはチャンプルーミュージック、ライブハウスにあると思っている。その中心コザで「音楽観光」が始まっている。10月末には行く予定でいるが、是非成功してもらいたいと思う。
ところで、まだ見てはいないが、9月1日東京有楽町に五つ星ホテルの「ザ・ペニンシュラ東京」がオープンした。ここ数年続いた世界トップクラスのホテル進出の最後を飾るオープンである。あの香港の名門、東洋の貴婦人といわれたホテルであるが、コンセプトは和であるという。日本の伝統技術である、漆や和紙、あるいは杉板の網代編みといったものまで使われているという。さて、和の中心点となりえたホテルかどうか、また報告したい。(続く)

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