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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年08月22日

未知の創造

ヒット商品応援団日記No195(毎週2回更新)  2007.8.22.

東国原知事就任後の宮崎県庁見学者が10万人を超えたと報道された。南新宿にある宮崎県のパイロットショップは売上を倍増。自らを宮崎のセールスマンと呼び、地鶏からマンゴーといった県特産品を売り歩き、TVメディアは追いかけるように連日東国原知事を通じた宮崎を報道している。ここに情報の時代の特徴が良く表れている。販売しているのは県産品というモノではあるが、都市の生活者にとってみれば、それは「未知」であり、知っているようで知らない「宮崎県」に対する興味そのものである。未知への興味を創ることが、セールスであるということだ。

物語消費という視座からこうした現象を見ていくと、1980年代後半のサブカルチャーをベースにした仮想現実としての第一次物語消費(ビックリマンチョコ〜ディズニーランド)から、第二次物語消費の時代に向かいつつあるように私は感じている。結論からいうと、「未知の物語」消費ということである。これは表通り観光から、横丁・裏路地観光への移行や、隠れ家ブームにも通ずるものである。もっと分かりやすく言うと、今まで話題や脚光を浴びてこなかった、地域、人、文化、テーマ、あるいは商品、出来事、・・・・・こうした新たな未知への興味が始まったということだ。別な視点から言うと、従来の「新しい、面白い、珍しい」消費物語は一巡し、次のフェーズへの移行を促されているということでもある。

「発掘!あるある大辞典」のようなやらせ、情報偽造は勿論のこと論外である。私のブログを読んでいただいている人には分かると思うが、日常のリアルに実感できる「未知」の創造ということである。しかも、顧客自身が発見するように興味という入り口を創れば良いのだ。宮崎県の場合は、入り口を東国原知事が担っているということである。後は、顧客自身が発掘し、実感し、「あるある」と仲間に伝われば、成功ということになる。そもそも県庁観光≒東国原知事に会えるかもしれない、という小さな期待創造がうまくヒットしたという事例である。ここ数年前から、この興味・期待は何処に向いているかを探り、見出すことがビジネスの前提となっていることを今回の「宮崎県現象」は良く表している。

顧客の興味・期待がどこに向いているのか、探ることが重要となっているが、従来の発想を一度捨ててみることも必要である。私に「めうろこ」を迫り、ある意味生き方まで変えた一人に歴史学者網野善彦さんがいるが、網野さん自身も従来の歴史書の嘘から離れるために引用されている一枚の地図がある。Googleの地図にも驚かされたが、こんな発想の地図をヒントにされたらいかがであろうか。環日本海諸国図/富山県作成(http://www.pref.toyama.jp/cms_cat/404030/kj00000275.html)(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:00│Comments(0)新市場創造
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