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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2010年03月31日

再び、シニア市場に着眼

ヒット商品応援団日記No454(毎週2回更新)  2010.3.31.

先日、久しぶりに時間をかけて銀座周辺の街を歩いてみた。主たる目的は、フジテレビが番組と連動させ全国47都道府県の物産を集めた「銀座めざマルシェ」を見に行くことであった。銀座ソニービルの並びにあるビルを改装したものであるが、元々物販業態のビルではなかったため、エレベーター2基とビルの外側の非常用階段というつくりのため来場者にとっては極めて不愉快で危険な動線となっている。また、その物産館で売られている商品であるが、2万点集積したとのことであるが、そのほとんどが魅力のない商品ばかりであった。更にいうと、デパ地下で行われる物産催事の売り場と比較し、陳列の工夫がまるでなされていない。出来る限り良いところを学ぶというのが私のスタンスであり、あまり悪口を言わない私であるが、これでは素人以下のビジネスであると言わざるを得ない。
マスメディアがその情報発信力を生かして、地方に埋もれている商品を発掘し舞台へと上げる、そうした主旨については大賛成の私である。が、これではまるで逆効果でしかない。昼少し前に見て回ったが、案の定来場者はまばらであった。リピーターは極めて少ないと思う。マスメディアによる物産とはいえ、小売業である。メディアを通じた話題も必要ではあるが、小売りの根幹であるMD力の無さは致命的だ。そのMD力とは、顧客が求めるであろう潜在的欲求を仕入れというかたちで顕在化させることに他ならない。

ところでもう一つの目的は銀座の空気感を感じることであった。銀座の空気感とは銀座を訪れる人達の交わされる言葉であり、表情、スタイルが醸し出す世界のことである。まず第一に感じたのが、既に春慶節を終えたにもかかわらず、中国からの団体客が至る所歩いていることであった。2月に京都・大阪と出かけたときの光景は、ああ春慶節で観光に来ているのだなと思ったが、もはや日常的に日本を訪れているということだ。銀座通りには4〜5台の観光バスが駐車しており、ガイド役を真ん中にしたいくつかの小集団があった。勿論、銀座三越の各フロアにはそうした中国人観光客を至る所に見かけた。銀座の百貨店はこうした中国人観光特需によって救われているなと感じた次第である。
もう一つの百貨店、銀座松坂屋は改装中であった。改装の目玉は、原宿に出店した「フォーエバー21」が千数百坪の面積で出店すると聞いている。周知のようにフォーエバー21のコンセプトは「上から下までコーディネートしても1万円以内」というティーンを主対象としたファストファッションである。リニューアルオープンは4月29日。このフォーエバー21の並びにはZARAやH&Mが既に出店しており、銀座通りの向かい側には増床したユニクロがある。こうしたファストファッションと呼ばれるカジュアル量販店の間に高級インポートブランドの旗艦店がある。こうしたモザイク模様と化した光景が世界の今ということであろう。

中国人観光客以外に気づいたことは、ちょうど昼時ということもあるが歩いているのは圧倒的にシニア世代、しかも女性グループが多いということである。今、銀座や日本橋界隈の老舗料理屋やレストランでは格安ランチメニューをつくり、女性シニア世代に人気となっている。格安といっても3000円〜5000円台であって、若いサラリーマンやOLのランチにはならない。2月に京都に泊まり美山という美しい田舎に出かけたときも感じたことであるが、高額カメラを手にしたシニア世代が茅葺きの里を撮っていたり、泊まったホテルにはシニアの女性グループと夫婦二人が大半を占めていた。以前、このシニア世代を評し「5つの得」をもっているとキーワード化したことがあった。時間持ち、友持ち、モノ持ち、経験持ち、そして金持ち、という「5得世代」である。添付の資料は大きく3つの世代に分けて、各人生ステージで「得たもの」と「無いもの」を整理したものである。今から8年前に私が作ったシートであるが、基本は変わらない。
再び、シニア市場に着眼

このシートだけで何十ページのブログになるが、今回はシニア世代、人生後半区世代へのマーケット着眼に絞ってみたい。消費の中心は人生中央区世代、子育て世代であるが、この世代の消費を巣ごもり消費と呼んできた訳である。一方、シニア世代は保有金融資産がリーマンショックによって目減りはしたものの消費については元気である。このシニア世代の消費については3年ほど前に何回か書いたので、今回は「友持ち」について書いてみたい。
個人化社会というバラバラ社会にあって、このシニア世代の特徴は今なおいくつかの「縁」による「友持ち」世代である。血縁は言うに及ばず、地縁、社縁、は続いている。今の若い世代と比較して持っていないのが、インターネットゲームやツイッターが取り持つ情報縁である。

血縁マーケットで一番大きな消費は、やはり「孫支援」、孫へのギフトである。選ぶのは母親で財布はシニアということだ。シニアにとってギフトというきっかけが欲しいだけで、「孫の日」以外にも多くの季節歳時、記念日がある。特に、旅行メニューには三世代メニューの充実は不可欠である。地縁で一番消費が活性されているのが、同窓会であり、コミュニティで行われる同好会やクラブ活動である。こうした縁から生まれた「友持ち」グループが前述の銀座でのランチなどへと広がっている。ところで男性シニア固有の縁が社縁である。人生の後半崩れたとはいえ、終身雇用、年功序列といった制度を生きてきた世代であり、ビジネスが取り持つ縁はつながっている。そうした同期会や社名を冠とした会が多数存在し、単なる飲食の会に留まらずゴルフや旅行へと広がっている。
そして、このシニア世代が一番消費へと向かうのが、貧しくて若い頃果たせなかった趣味やスポーツ、更には第二の人生への投資である。そして、最大特徴は「心の扉」を開けられれば固定フアン、リピーターになりえるということだ。このマーケットについては細心情報を踏まえ追々ブログにて書いてみたい。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:46│Comments(0)新市場創造
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