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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2006年10月01日

ライフトレンドの今 

ヒット商品応援団日記No103(毎週2回更新)  2006.10,1,

私はここ10年ほど前までは、「何」に焦点を当ててライフスタイル変化を見てきたかと言うと、衣食住遊休美健・・といった旧来区分でいうと「食」と「自由時間の過ごし方」であった。全ての生活変化をつぶさに見ていったり、定点観測していくには実務をこなしていく上で時間的に難しかったということもあったが、最大理由は「変化」が一番出やすい分野であるということであった。生活実感からすると、「チョットだけ」「この時位は」「なんとか」「無理がきく金額だから」といったように、365日同じような生活は難しいけれど食事ぐらい、自由時間ぐらいは、といった本音や願望が出やすい世界に焦点を当ててきた。調査などもフリーアンサー形式にして、できる限り「生の声」を取り、その「変化」のありようを見てきた訳である。
ところが、丁度10年ほど前、札幌を中心に40数店舗のファッション専門店を経営する企業において調査をしたことがあった。ファッションといってもかなり個性的なハイスタイル専門店で、主要な顧客は、いわゆるオピニオン層でこうした顧客に対する調査であった。最後の質問に「これからどんな商品・サービスを望まれますか」という質問に対し、その多くがファッションではなくインテリア商品と答えていた。その時の私の実感は"
ああ豊かさが変化してきたな"というものであった。

ところで、東京でも10年ほど前からインテリアや家具が静かなブームとなっている。東京目黒通り沿いには多くのショップがあり、アンティーク家具やセレクトショップ巡りの中心となっている。周知のように、インテリアや家具はお気に入りのライフスタイルづくりには今や必須アイテムとなっている。このインテリアショップの草分け的存在が、周知のアクタスであるが、今日の北欧ブームのシンボル的存在であるデンマークのアルネ・ヤコブセン、その火付け役でもある。そして、今やインテリアというより「一つの美意識」によって世界中から小物雑貨までを集めてくる「セレクトショップ」が標準となっている。私のことばでいうと、「ライフデザインセレクトショップ」となる。この「セレクトショップ」という言葉をつくり、キーワードとして流行らせたのは団塊ジュニアである。ビームスやトゥモローランドがその代表的ショップであった。ある意味で「個性化」の進展がファッションから住まい方まで進化してきたことに他ならない。数年前から、デザイナーズマンションが流行ったが、既成のデザイナーによるマンションから、今やセレクトしたデザイナーにオーダーするような売られ方が出てきており、セレクト&コーディネーション主体が生活者側に移ってきたということだ。既に、インテリア関連においてはリアルショップからネットショッピングへとその比重が移ってきている。その代表がCiBONE(シボネ/http://zozo.jp/shop/cibone/default.html?KID=50010100)やamadana(アマダナ)、+-0(プラスマイナス・ゼロ)といったところだと思う。

このライフスタイルを売るインテリア・家具のリアルショップも2年ほど前から少しづつ変わり始めている。従来の家具・インテリアというモノ売り場から、コーティネーションを売るショールームへと変化してきたが、カフェや本格的なイタリアンなど飲食を伴う業態への変化である。つまり、生活感という実感、雰囲気を体験してもらおうという意図からと、私は考えている。この先駆け的存在としては、周知のサザビーグループのアフタヌーンティーがあり、大手デベロッパーとのコラボレーションによるマンションもつくられている。このようにライフスタイルトレンドは「生活全体」を実感する方向へと向かっている。10年前のように、日常の小さな取り入れやすいものからの変化から、体験学習の成果と思うが、自らの美意識で生活をデザインするところまで成熟してきたと言えよう。
8月に最近の米国の動向を調べたが、注目するような米国発のニュースはなかった。米国発の「セレブ」人気の後はと言えば、人気モデルの出産ブーム位(http://fanet.jp/domani/cafe/newyork/newyork0302.htm)で、逆に北欧や日本ブームが変わらずトレンドの中心となっていた。LOHASもこうした大きな潮流の中で見ていくべきだと思う。私は世界的な和ブームの中心には京都があり、寺社文化を入り口としながらも、その奥には千年の時を経た生活美学が今なお生きていることに魅せられているからと思っている。そして、ビジネスばかりでなく、私たちのライフスタイルそのものがグローバル化しており、日本人はあまり意識はしていないが、これからは日本発の文化=デザインに注目が集まってくると思う。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:43│Comments(0)新市場創造
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