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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年07月04日

損と得

ヒット商品応援団日記No181(毎週2回更新)  2007.7.4.

前回「儲ける」と「役に立つ」  、この2つのテーマについて書いてみた。今回も同じようなテーマ、損と得について考えてみたい。誰も損はしたくない、得をしたいと考え、ビジネス、商売をしている。「役に立つ」ことだけであればボランティアとなり、しかし継続していくには「儲ける」ことが必要だ。前回はこんな内容であったと思う。今回の損と得はもう少し、戦略的なテーマである。よく「損して得をとる」という言い方があるが、その場合の損は「次」「明日」のための投資の意味合いとして使われることが多い。特に、新しい市場、未知の市場においては損をしてでも市場シェアーNO1、一定のシェアーを確保することを目標とすることが多い。不正請求をしたコムソンなんかはこうした例である。つまり、24時間いつでも訪問介護するという現場の損によってシェアーNO1を目指したのだが、目指す理由の第一はNO1だけが持つ「価格リーディング」があるからだ。コムソンの場合は、価格は国によって決められているため、「不正請求」という方法が取られたと思う。

日本式経営の特質を分析した経営学者の奥田健二氏は、著書「日本型経営の未来」(TBSブリタニカ)で、自分のためではなく、他者に役に立つ受苦的な行動を、日本人特有の優れた能力として注目している。 受苦的な生き方とは、自分を二の次にして、人のために尽くすという姿勢だ。この生き方は、日本では古くから価値あるものとされてきたが、今や失ってしまったことの一つとなっている。社会生活でも、組織の中やチームワークにとって有用な役割りを果していると思う。「 私が私が」とする能動的生き方だけでなく、日本の伝統である受動的、受苦的生き方にも、もっと光をあててみる必要があると思う。損と得という言い方をするならば損の道をゆくことも必要な時代だ。

課題はどんな「損」の仕方をするかである。勿論、会社を倒産させてしまうような損ではない。顧客、市場、社会が喜んでもらう損の仕方である。最近のスーパーは取り入れて来たが、10年ほど前から個人化の進行に伴い、個食=小食という視点で利益を上げて来たスーパーがあった。そこではメロンのハーフカットからクオーターカットにし、1個1000円のメロンをクオーターカットで300円で販売していた。1/4にすれば250円であるが、300円で売り、手間はかかるがその差50円が利益というわけだ。顧客にとっては無駄にせず、買いやすい価格になり、売り手も買い手も一つの調和が成立する世界である。手間という損、時間をかけるという損、多くの損の仕方がある。大きな損は難しい。しかし、小さな損は誰でも可能である。一手間、一言、一工夫、こうしたチョットした損が顧客創造へとつながる。サービス精神という損が得をもたらす時代だ。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 12:04│Comments(0)新市場創造
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