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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年06月17日

ソーシャルデザインへ

ヒット商品応援団日記No176(毎週2回更新)  2007.6.17.

消費はその時々のライフスタイルを表しているが、その裏側にあるそれぞれの価値観の結果である。どんな価値潮流が裏側に潜んでいるのか、マーケティング、ビジネスメーカーにとって不可欠なテーマである。例えば、メガ・トレンドである健康志向もモノ不足であった昭和30年代には無かった言葉である。食べることに必死であった時代は、食べられることが唯一健康志向であった。今、健康というメガ・トレンドはどうであろうか?食事ばかりか生活のあらゆるものに健康がキーワードとなっていることは周知の通りである。そして、前々回の「ライフスタイルバランス」で書いたように行き過ぎた健康志向を始めいくつかの価値潮流の修正が始まっている。

これは私の仮説であるが、モノの充足を終えた1990年代初頭から始まった「健康」ブーム、あらゆるブームが過剰であったとの認識からバランスを取り始めていると考えている。こうしたバランスの裏側にある価値潮流の一つが、マイブームに対するパブリック、社会への視座と私は考えている。分かりやすくいうと、ゴミ屋敷のような行き過ぎた私生活主義、自分さえ良ければといった価値観、自己中心主義に対し、町の美観や安全をコミュニティで解決していこうという動きが様々なところで始まっている。その象徴例が、東京杉並の和田中学にリクルートから転身し校長となった藤原和博さんのようなソーシャルデザインの試みである。「よのなか科」でTV等でも紹介され話題となったので知っていると思うが、例えば中学校の中に「地域本部」を作る活動である。バラバラとなった住民ばかりの地域をコミュニティに変えて行こうというチャレンジである。藤原さんは「住民というのは、ただ住んでいるだけで、学校が運動会で騒いでいたりすると、匿名でうるさいと電話をかけてくるような人である。コミュニティにおける市民は、半分は自分の責任として学校にコミットメントしていく人である」という。そして、「土曜寺子屋」という塾を開き、若い人達をボランティアとして先生役を募集し、課外授業を行っている。集まったボランティアは住民ではなく、成熟したした時代の一市民としてである。

さて、そうしたらマイブームは終わるのかという質問がくると思う。勿論、マイブームはこれからも続いて行く。ただ、その「マイ」の在り方が、社会という「公」としてどうかという視座を持ち始めたということである。「マイ」を少しでも地域に役立てようという動きが出てくるということだ。チョット直接的ではあるが、夕張支援商品を流通とメーカーとが作る動きも「マイ」という次なるお気に入り商品に育つかもしれない。一方、東京豊洲のららぽ〜とに出店したキッザニアのように、本来社会がコミュニティが環境として持っていた社会学習体験を商業ベースとして補う動きも次々と生まれてくる。TV番組の「田舎に泊まろう」ではないが、疑似祖父母との生活をレンタルするようなビジネス、「ひととき家族」といった発想も生まれてくるかもしれない。ライフデザインの時代と共に、ソーシャルデザインの時代に向かうということだ。いずれにせよ、ソーシャルデザインというキーワードはこれから多く耳にすることになると思う。

少し前に「地方が面白い」と書いたが、ふるさと納税制度というハードルはあるが、地方分権は目前である。行政的には地方自治という表現になるが、私の言葉ではソーシャルデザインとなる。ビジネス視点で言うと、ソーシャルマーケティング、ソーシャルマーチャンダイジングが本格化する。今回私が出版する「人力経営」の中で取り上げた福岡県岡垣町という田舎でビジネスをされている「野の葡萄」(http://www.budounoki.co.jp/index.htm)はまさにこうしたソーシャルデザインの典型だと思う。私は「夢経営」というタイトルをつけたが、「ここにしかない田舎にしたい」と夢を語る代表の小役丸さんは素敵である。岡垣町も過疎化に悩む他の地方と同じで、農家を廃業するお年寄りが多かったと言う。野の葡萄は2001年以降集配車を始めとした仕組みを作り、現在では30戸の農家が再び畑にでるようになったと聞いている。大仰に社会貢献などと言うのではなく、ビジネスチャンスはいくらでもあるということだ。(続く)

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レバレッジ・クエスト検証マニアです。レバレッジ・クエスト購入後に最初に見た印象は非常に「お得感」があるなぁとのことでした。
レバレッジ・クエスト 検証 評価 最初の印象【FX情報商材アドバイザー】at 2007年06月20日 00:08
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