2007年05月20日
決算発表と景気
ヒット商品応援団日記No168(毎週2回更新) 2007.5.20.
先日、上場企業の3月期の決算発表があった。その決算発表をまとめるマスメディアは多くの企業は過去最高益となり順調な景気上昇を示したと報じた。その背景には中国とロシアの景気拡大の影響が大きく、更に円安傾向が日本企業の決算内容に大きく反映されたと。その決算内容であるが、今後経済誌等で詳細がレポートされると思うが、昨年の決算内容と比較し大きく異なる点は、東証上場企業1400社の内約半数が株主への配当を増やしたということであった。この5月からスタートした「三角合併」の解禁を踏まえた安定株主対策であると思う。少し前のブログで触れたことがあるが、いわゆる雇用者への利益配分は今後も増えそうにはないということだ。しかも、現状では労働人口の内、非正社員が1/3を占めていることからも、今後景気が家計に及ぼす影響には大きな変化はないと思う。
少し古いデータであるが、今回の平成景気の内容を復習すると、国内総生産は2001年度の493.6兆円から2005年度の503.4兆円へと、この間に約10兆円増加している。ただ、雇用者報酬は逆に2001年度の267.9兆円から259.5兆円へと8兆円強減少していることは既に書いて来た。増加しているのは営業余剰という将来への引き当金などで、同じ期間に84.8兆円から95.0兆円へと約10兆円増えている。更に激しくなるグローバル競争のための「引き当て」ということである。
この期間の生活者の家計を見ていくと、預金の利子受け取りとりは7.0兆円から3.0兆円へと4兆円減っている。一方、株式配当所得は2.3兆円から7.4兆円へと5兆円増加している。つまり、預金金利が低いことから株式市場に多くのお金が回ったということであった。ところでその市場の株主構成であるが、東証を例に挙げると外国人投資家の保有比率は2001年の18.3%から2005年には26.7%まで上昇している。
この数年間グローバリズムという見えざる巨大な波にもまれてきたが、一昨年岩井克人さんが提示した「会社はだれのものか」という問いには答えがまだ出てはいない。ただ、この1ヶ月ほど経済誌などを見ていくと、従来とは異なる「安定株主」戦略が取られ始めている。従来は金融機関が一定数の株を保有するといったやり方であったが、顧客市場に混乱を与えないといった一つのポリシーを持った相互に株を持ち合うやり方である。今、投資ファンドによる明星食品、サッポロビール、最近ではブルドッグソースなどへTOB提案がなされている。今から十数年前になるが、あのP.ドラッカーも資本主義の在り方を変えてしまう一つに機関投資家の存在を上げていた。お金がお金を生む、それも巨大なお金を生む時代。勿論、巨大な損失も生む時代でもある。今、世界は金あまり状態にあり、ヘッジファンドは優に160兆円を超え、日本のGDPの1/3弱の規模にまで膨れ上がっている。巨大な波というより現代の妖怪といった方が的確であろう。
もっと身じかで小さな生活レベルでいうと、周知のように都心の地価は上がり、特に銀座まで数駅の豊洲地域ではマンション価格が2年前と比較し約150〜160%と高騰している。購入者の多くは団塊ジュニアで子供を通わせる小学校のクラスが急増している。あるいは、私のブログにもコメントを寄せてくれているが、沖縄でも土地が高騰し、なかでも離島の石垣島ではミニバブルが起こっている。勿論、団塊世代の移住を当てにしたものであるが、更には地域住民と移住者との間で多くのトラブルも発生していると聞く。また、日本のゴルフ場の多くはバブル崩壊と共に会員権は下落し、破綻し、約70%ものゴルフ場は外資のファンドによって買収されてきた。しかし、ここへきてその外資企業からゴルフ場を買い、更に大きなリゾート施設化がなされる動きも出て来ている。
東京駅周辺をロンドンのシティ地区と同じように金融シティ化しようと駅周辺の超高層ビルには金融関連企業の誘致が活発化しており、東京はますますTOKYO化していく。5月19日には地方の中小企業支援のための「地方版再生機構」が創設されると発表があった。景気動向、消費動向を見ていく上で、生活者の価値観変化と共に、その変化を促しあるいは後を追う「お金」の動きも見据えなければならない。東京の変貌と共に、地方がどのように変わっていくのかまた注目していきたい。(続く)
先日、上場企業の3月期の決算発表があった。その決算発表をまとめるマスメディアは多くの企業は過去最高益となり順調な景気上昇を示したと報じた。その背景には中国とロシアの景気拡大の影響が大きく、更に円安傾向が日本企業の決算内容に大きく反映されたと。その決算内容であるが、今後経済誌等で詳細がレポートされると思うが、昨年の決算内容と比較し大きく異なる点は、東証上場企業1400社の内約半数が株主への配当を増やしたということであった。この5月からスタートした「三角合併」の解禁を踏まえた安定株主対策であると思う。少し前のブログで触れたことがあるが、いわゆる雇用者への利益配分は今後も増えそうにはないということだ。しかも、現状では労働人口の内、非正社員が1/3を占めていることからも、今後景気が家計に及ぼす影響には大きな変化はないと思う。
少し古いデータであるが、今回の平成景気の内容を復習すると、国内総生産は2001年度の493.6兆円から2005年度の503.4兆円へと、この間に約10兆円増加している。ただ、雇用者報酬は逆に2001年度の267.9兆円から259.5兆円へと8兆円強減少していることは既に書いて来た。増加しているのは営業余剰という将来への引き当金などで、同じ期間に84.8兆円から95.0兆円へと約10兆円増えている。更に激しくなるグローバル競争のための「引き当て」ということである。
この期間の生活者の家計を見ていくと、預金の利子受け取りとりは7.0兆円から3.0兆円へと4兆円減っている。一方、株式配当所得は2.3兆円から7.4兆円へと5兆円増加している。つまり、預金金利が低いことから株式市場に多くのお金が回ったということであった。ところでその市場の株主構成であるが、東証を例に挙げると外国人投資家の保有比率は2001年の18.3%から2005年には26.7%まで上昇している。
この数年間グローバリズムという見えざる巨大な波にもまれてきたが、一昨年岩井克人さんが提示した「会社はだれのものか」という問いには答えがまだ出てはいない。ただ、この1ヶ月ほど経済誌などを見ていくと、従来とは異なる「安定株主」戦略が取られ始めている。従来は金融機関が一定数の株を保有するといったやり方であったが、顧客市場に混乱を与えないといった一つのポリシーを持った相互に株を持ち合うやり方である。今、投資ファンドによる明星食品、サッポロビール、最近ではブルドッグソースなどへTOB提案がなされている。今から十数年前になるが、あのP.ドラッカーも資本主義の在り方を変えてしまう一つに機関投資家の存在を上げていた。お金がお金を生む、それも巨大なお金を生む時代。勿論、巨大な損失も生む時代でもある。今、世界は金あまり状態にあり、ヘッジファンドは優に160兆円を超え、日本のGDPの1/3弱の規模にまで膨れ上がっている。巨大な波というより現代の妖怪といった方が的確であろう。
もっと身じかで小さな生活レベルでいうと、周知のように都心の地価は上がり、特に銀座まで数駅の豊洲地域ではマンション価格が2年前と比較し約150〜160%と高騰している。購入者の多くは団塊ジュニアで子供を通わせる小学校のクラスが急増している。あるいは、私のブログにもコメントを寄せてくれているが、沖縄でも土地が高騰し、なかでも離島の石垣島ではミニバブルが起こっている。勿論、団塊世代の移住を当てにしたものであるが、更には地域住民と移住者との間で多くのトラブルも発生していると聞く。また、日本のゴルフ場の多くはバブル崩壊と共に会員権は下落し、破綻し、約70%ものゴルフ場は外資のファンドによって買収されてきた。しかし、ここへきてその外資企業からゴルフ場を買い、更に大きなリゾート施設化がなされる動きも出て来ている。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070613-00000001-maip-bus_all
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