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「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2007年04月25日

情報化社会の今 

ヒット商品応援団日記No161(毎週2回更新)  2007.4.25.

情報化社会という言葉を私も良く使うが、その意味するものは多様で広い。ここでは情報を伝えるメディア技術の発展と共に、どのように生活者の意識変化を促したか、それが大きく動向を左右する社会という意味でここでは使いたいと思う。特に、マーケティング、新しい市場を創っていく上で「情報」が果たしている役割とその変化の「今」について私見を書いてみたい。

情報化社会の変化、質的変化を私たちに促したのはITというテクノロジーを別にすると、1995年3月オウム心理教による「地下鉄サリン事件」と1997年神戸で起きた「酒鬼薔薇聖斗事件」の2つであったと思っている。前者は今なお裁判が継続しており、後者は少年法の問題と共に再注目されたが、共におぞましい事件、狂気の事件として否応なく脳裏にこびりついて離れない。この想像を超える言葉にならない「衝撃」の大きさは、後にキーワード化される「サプライズ」という言葉が生まれる伏線となっている。この時期、どんな時代であったかというと、「不安の時代」へのまさに序章の時期であった。大企業神話を始め、従来の価値観が崩壊している時期に当たる。同時にインターネットという新しい時代の幕開けで、楽天市場を先頭にITベンチャーやユニクロ等デフレ企業が続々と生まれた時期でもある。街にはコギャルと呼ばれた少女達が漂流する、そんなカオスの時代であった。つまり、カオス、混沌の象徴として2つの事件があったということである。

メディアの変遷を10年単位で見ていくとよく分かるが、メディアの種類が圧倒的に増えて来た。情報を発信するという視点に立てば、人も、街も、イベントも、勿論商品もサービスもあらゆるものがメディアになる時代になった。戦後の新聞とラジオの時代を経て、TVや雑誌の時代、ネットの時代、しかも文字情報だけでなくyoutubeのように動画情報がまるで個人放送局のように発信される、種類も量も「過剰」な時代にいる。メディアビジネスは広告収入を基本としていることから、そのレスポンスの競争となり、「発掘!あるある大辞典Ⅱ」のような情報偽造が行われるようになる。しかも情報は鮮度、スピードが命であり、どこよりも早くが第一番目の競争となる。当然、メディアは話題になるであろう「芽」に集中する。集中すれば、「違い」を創るために更に集中することとなる。情報も一極集中し、情報格差が生まれてきた。

そして、過剰な情報が行き交う時代のコミュニケーションは「キーワード・コミュニケーション」となる。キーワードとは鍵となる言葉で、その意味する世界を短く表現する言葉である。若い頃、広告会社に勤務していた頃、コピーラーターのトレーニング法の一つに、1万語を1000文字に、1000文字を100文字に、100文字を10文字に圧縮し、その意味世界を創るプログラムがあった。10文字をキーワードと呼んでもかまわないと思う。このキーワード手法を最初に政治に使ったのが周知の小泉前総理である。「自民党をぶっこわす」から始まり、ワンフレーズポリティクス=キーワード政治を行った。以降他の政治家も「もったいない」や最近では「しがらみのない」といった具合である。つまり、キーワード・コミュニケーションとはキーワードを記憶に残し、後は当人にイメージしてもらうといったイメージ・コミュニケーションのことである。政治家は人であるから、良きイメージ、好感度といった見た目が重要となり、基本的にはタレントと同じである。勿論、選挙の際、公開されたマニフェストをよく読み、検討する人も存在しているが、圧倒的に少ない。既に、政治家も一つの商品として見ていくことはかなり前から行われて来た。

デジタル社会における情報はまさに白か黒、0と1、どちらかの意味しか持たない。情報は受け止めて反応するものではなく、瞬間的に感応する感じるものとなる。しかし、ここ1〜2年感応したことによる結果に対する学習が進んだ。「情報」の前で立ち止まり、一呼吸置いて反応するようになってきた。今回の長崎市長選挙の結果を見ても分かるが、投票総数の7.7%に当たる無効票15,000余の内、白票が4,558票、亡き伊藤市長などの名前を書いた票が7,463票もあったと報じられた。伊藤市長への想いは勿論強くあったのだと思うが、それ以上に新たに立候補した二人の候補者を判断する「情報」がほとんど無かった(届かなかった)ことによるものと思う。「伊藤一長さん、今までありがとうございました」といった氏名以外の無効票は1,095票もあったことは、「情報」が届かないまま判断停止せざるを得なかった長崎市民の姿が見えてくる。

過剰な数のメディアと過剰な量の情報の中で、マスメディアは相対的にその効果を落とし、ブログのようなパーソナルメディアやリアリティのあるイベントメディアにウエイトが置かれるようになった。サプライズといった手法も回数を増す毎にその刺激は半減していく。そして、一般的平均的に、あるいは一律的に情報が届く時代は既に終えている。その是非は別として、特定の世代内、特定のエリア内、特定のクラブ内、特定の興味、特定の帰属組織、特定の階層、・・・・全て「特定」の中での情報交流・交換の時代となってきた。次回新宿高島屋のリニューアルについてレポートするが、流通、商業施設も特定路客を中心に再編が始まっている。新宿高島屋は「大人の女と男」という団塊世代という特定顧客、特定市場に対してのリニューアルとなっている。先日オープンした東京ミッドタウンも同様であったし、今週末東京駅丸の内にオープンする新丸ビルも同様のコンセプトである。「大人の時代」というコンセプトをどうMDし、どう情報として伝えているか、団塊世代市場についてまたレポートしたいと思っている。(続く)

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