2008年12月14日
「変」な一年
ヒット商品応援団日記No325(毎週2回更新) 2008.12.15.
ちょうど1年前に、翌年を予測する経済誌を使って私流の分析を行っていた。勿論、未来予測など当たりはしないという前提であったが、予測通り多くの経済誌は外れることとなった。日経ビジネスについては経済の不安材料としてサブプライムローン問題を取り上げてはいたが、これほどの世界同時不況の引き金になるとは誰も考えてはいなかった。私は当時のブログに次のように書いていた。
『サブプライムローンにおける格付け問題の疑義やミシュランの東京版から、ネット上で行われている各種のランキングまで、今やすべてがランク・格という物差しによって動く情報の時代となっている。・・・・思えば耐震偽装事件から2年を経過したが、その後社会的事件と呼ばれる多くが経営指標の偽装から産地偽装や表示偽装といった情報による偽装事件ばかりである。
株式市場やビジネスにおける顧客への約束といった「公」のルールは100%果たさなければならない。しかし、この2年間公も私においても情報による偽装を学習してきた。情報の本質の一つが使用価値にある。新聞も使えなければただの紙であり、TVも無駄な時間を使ったことになる。もうそろそろ情報の時代の本質を受け止めなければならないと思う。(2007.12.2.「過剰情報からの質的転換 」より)』
書店の店頭には、米国の金融バブルには日本も共犯者として加担してきたとして自戒・反省の書籍が並ぶ。今年の日経ビジネスの2009年予測は、寺山正一編集長自ら「資本主義維新」という生き残りのための5条件を提起している。金融資本主義の暴走からの反省であるが、「人間尊重」「世界尊重」「革新尊重」「環境尊重」「公益尊重」の5つで、私に言わせれば原則に立ち帰ったということである。その分かりやすい事例として、HONDAの創業者である故本田宗一郎氏のインタビュー記事を再掲載している。
「人間はね、一人ひとりみんな違っているからいいんだよ。みんな同じなら、社長は人を雇わずにロボットをいっぱい買って仕事をさせてりゃいいでしょう。」(日経ビジネス、12月22日号より)
金融工学というまさに金融ロボットによって、金融ばかりか実体経済までもが崩壊へと向かった1年であった。恒例の清水寺から発表される今年の1年を表す漢字一文字は「変」となった。次期米国大統領オバマ氏が掲げた変化というポジティブさにも、まるで見えないところでゲームのように行われる金融ビジネスにどこか変というネガティブさにもとれる一文字である。ポジティブに考えればレーガン以降の新自由主義からのパラダイム(価値観)の転換と受け止めることができる。一方、ネガティブに受け止めればファンド(投資資金)の責任を含め、「次」は何かという混乱、カオスということになるであろう。
今年の春、ガソリン価格は1ℓ当り170円を超えていた。幹線道路沿いのGSは廃業によって歯抜け状態となった。夏前には重油高騰で漁業ストライキまで実施された。しかし、リーマン・ショック以降、金融バブルは崩壊し、投機資金は一斉に引き上げられ、今やガソリン価格は90円台まで下がった。しかし、にもかかわらず新車販売台数は更に落ち込んでいる。
消費のエンジン役であった米国経済の崩壊により、ビッグ3のみならず、日本国内の自動車産業始め家電製造業のリストラが発表され、社会問題化しつつある。現在は、そうした企業城下町や都市部(特に東京)に不況の波が押し寄せているが、来年春には全国に波及して行く。
一方、円高による還元セールやウオン安による韓国旅行が人気となっている。日本の経済は輸出ばかりが注目されているが決してそうではない。お隣りの韓国の場合、GDPに輸出が占める比率は70数%であるのに対し、日本の場合は20数%である。悲観も楽観もないということだ。
さて、こうした変な時代、グローバル経済と一生活者がつながっていることを私たちは学習体験してきた訳である。勿論、一人の生活者の中に、今回の激変に対しポジティブさもネガティブさも併せ持ってである。経済誌の多くはこの2面性を消費面で使い分けている消費、賢明な消費についてあまりふれることはない。例えば、日常ではレコードダイエットしているが、時にはガツン系フードも食べるといったセルフコントロールできる消費スタイルを身につけ始めたということである。わけあり商品についても、そのわけあり内容次第で購入の是非を決める。つまり、情報に翻弄されない消費と言っても良いし、成熟した生活者と言ってもかまわない。
変な時代の体験学習を経て、これからどんな時代になるか分からないが、生活者のライフスタイルが変わっていくことは間違いない。楽観と悲観、時にどちらかにウエイトが偏ることもあるが、あらゆるものがグローバル化した時代にあって、バランスがとれた賢明な新しいライフスタイルとして社会の舞台に上がることと思う。そうした新しいライフスタイルの芽も、またレポートしていきたい。(続く)
ちょうど1年前に、翌年を予測する経済誌を使って私流の分析を行っていた。勿論、未来予測など当たりはしないという前提であったが、予測通り多くの経済誌は外れることとなった。日経ビジネスについては経済の不安材料としてサブプライムローン問題を取り上げてはいたが、これほどの世界同時不況の引き金になるとは誰も考えてはいなかった。私は当時のブログに次のように書いていた。
『サブプライムローンにおける格付け問題の疑義やミシュランの東京版から、ネット上で行われている各種のランキングまで、今やすべてがランク・格という物差しによって動く情報の時代となっている。・・・・思えば耐震偽装事件から2年を経過したが、その後社会的事件と呼ばれる多くが経営指標の偽装から産地偽装や表示偽装といった情報による偽装事件ばかりである。
株式市場やビジネスにおける顧客への約束といった「公」のルールは100%果たさなければならない。しかし、この2年間公も私においても情報による偽装を学習してきた。情報の本質の一つが使用価値にある。新聞も使えなければただの紙であり、TVも無駄な時間を使ったことになる。もうそろそろ情報の時代の本質を受け止めなければならないと思う。(2007.12.2.「過剰情報からの質的転換 」より)』
書店の店頭には、米国の金融バブルには日本も共犯者として加担してきたとして自戒・反省の書籍が並ぶ。今年の日経ビジネスの2009年予測は、寺山正一編集長自ら「資本主義維新」という生き残りのための5条件を提起している。金融資本主義の暴走からの反省であるが、「人間尊重」「世界尊重」「革新尊重」「環境尊重」「公益尊重」の5つで、私に言わせれば原則に立ち帰ったということである。その分かりやすい事例として、HONDAの創業者である故本田宗一郎氏のインタビュー記事を再掲載している。
「人間はね、一人ひとりみんな違っているからいいんだよ。みんな同じなら、社長は人を雇わずにロボットをいっぱい買って仕事をさせてりゃいいでしょう。」(日経ビジネス、12月22日号より)
金融工学というまさに金融ロボットによって、金融ばかりか実体経済までもが崩壊へと向かった1年であった。恒例の清水寺から発表される今年の1年を表す漢字一文字は「変」となった。次期米国大統領オバマ氏が掲げた変化というポジティブさにも、まるで見えないところでゲームのように行われる金融ビジネスにどこか変というネガティブさにもとれる一文字である。ポジティブに考えればレーガン以降の新自由主義からのパラダイム(価値観)の転換と受け止めることができる。一方、ネガティブに受け止めればファンド(投資資金)の責任を含め、「次」は何かという混乱、カオスということになるであろう。
今年の春、ガソリン価格は1ℓ当り170円を超えていた。幹線道路沿いのGSは廃業によって歯抜け状態となった。夏前には重油高騰で漁業ストライキまで実施された。しかし、リーマン・ショック以降、金融バブルは崩壊し、投機資金は一斉に引き上げられ、今やガソリン価格は90円台まで下がった。しかし、にもかかわらず新車販売台数は更に落ち込んでいる。
消費のエンジン役であった米国経済の崩壊により、ビッグ3のみならず、日本国内の自動車産業始め家電製造業のリストラが発表され、社会問題化しつつある。現在は、そうした企業城下町や都市部(特に東京)に不況の波が押し寄せているが、来年春には全国に波及して行く。
一方、円高による還元セールやウオン安による韓国旅行が人気となっている。日本の経済は輸出ばかりが注目されているが決してそうではない。お隣りの韓国の場合、GDPに輸出が占める比率は70数%であるのに対し、日本の場合は20数%である。悲観も楽観もないということだ。
さて、こうした変な時代、グローバル経済と一生活者がつながっていることを私たちは学習体験してきた訳である。勿論、一人の生活者の中に、今回の激変に対しポジティブさもネガティブさも併せ持ってである。経済誌の多くはこの2面性を消費面で使い分けている消費、賢明な消費についてあまりふれることはない。例えば、日常ではレコードダイエットしているが、時にはガツン系フードも食べるといったセルフコントロールできる消費スタイルを身につけ始めたということである。わけあり商品についても、そのわけあり内容次第で購入の是非を決める。つまり、情報に翻弄されない消費と言っても良いし、成熟した生活者と言ってもかまわない。
変な時代の体験学習を経て、これからどんな時代になるか分からないが、生活者のライフスタイルが変わっていくことは間違いない。楽観と悲観、時にどちらかにウエイトが偏ることもあるが、あらゆるものがグローバル化した時代にあって、バランスがとれた賢明な新しいライフスタイルとして社会の舞台に上がることと思う。そうした新しいライフスタイルの芽も、またレポートしていきたい。(続く)
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Posted by ヒット商品応援団 at 13:49│Comments(0)
│新市場創造
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