プロフィール
ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
インフォメーション
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 16人

スポンサーリンク

上記の広告は、30日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by だてBLOG運営事務局 at

2010年03月03日

断片情報化社会

ヒット商品応援団日記No448(毎週2回更新)  2010.3.3.

昨日、2010年度の国家予算92兆円余が衆院で可決し、年度内に通過することが決まったと報じられた。このブログは政治ブログではないので取り上げるつもりはないが、ここ数ヶ月間の「政治とカネ」を巡る問題にいいかげんにして欲しいという気持ちで一杯である。
「未来はわからない」というのが私の持論であるが、必ずやってくるのが高齢化社会であった。確か1990年代半ばであったと思うが、私が記憶する限り唯一警鐘を鳴らしていたのが堺屋太一さんであった。少子化もそうであるが高齢化という課題はこれからの日本の未来、いや現実の日本という国家をどのような方向へと向かわせていくか極めて重要なことであった。それは単なる社会保障・福祉の問題としてではなく、生き方を一人ひとりが選択すべきものでもあった筈である。しかし、今もそうであるが、1988年当時の政府与党であった竹下政権は福祉目的税を準備していたが、周知のリクルート事件という「政治とカネ」の問題によって、日本の「次」について国民の信を問うことがなく今日に至っている。勿論、民主主義国家として「政治とカネ」の問題を見て見ぬ振りをすればよいというわけでは決してない。しかし、江副氏によって書かれた「リクルート事件・江副浩正の真実」(中央公論新社刊)を読んでも、今回の陸山会の政治資金規正法違反の新聞報道を読んでも、不可解さが残ったままである。

東京のローカル紙東京新聞(3/3朝刊)は今回の国会論戦について皮肉まじりに次のような「迷言名言」として順位をつけている。

第一位:「まさに平成の脱税王だ」 (鳩山首相に対する与謝野馨元財務省の発言)
第二位:「命を守りたい」(鳩山首相施政方針演説)
第三位:「今日のところはそのくらいにしておきましょう」(政治資金問題追及を途中で切り上げた谷垣自民総裁の発言)
第四位:「うるさい」(野党の野次に対する亀井金融大臣の発言)

一昨年秋のリーマンショックの火種は全世界へ広がり、鎮火せずにドバイショックへ、更にはギリシャへとくすぶり続けている時代の最中である。更に、トヨタのリコール問題は大きな日米同盟問題へと発展しなかったのは幸いであったが、内にも外にも難問が山積している。一企業、一エリア、一個人では解決出来ない問題ばかりである。3月という時期は企業であれば倒産、個人であれば自殺者の多い月だ。

ところで、こうしたやりきれない時代はいつから始まったのかと思い起こすと、やはり1995年のオウムサリン事件と阪神淡路大震災であったと思う。心理の奥底にどこかでぬぐい去ることができない不可解さが今なお残っている。言葉としていえば「不安」という二文字となってしまうが、2003年から数年ミニバブルが都市で起こったものの常に不安は底流し続けている。その底流の中に、秋葉原連続殺傷事件もあれば、最近では昨年11月の島根女子大生殺人事件もある。つまり、不可解という不安であり、不可解さを解くために人は否応なくその源を辿ろうとする。
つまり、断片情報ばかりが圧倒的なスピードで行き交う情報の時代とは、当然不可解さを解き明かしたいという欲求がごく自然に生まれてくる。作家村上春樹の本が根強く読まれていたり、昨年の国宝阿修羅像に若い世代も注目する。あるいは、自身のルーツを探るために家系図を作ったり、歴女ブームのように真田幸村の生涯を調べたり、最近では「古代文字」の謎解きブームなんかも、こうした「知らないことへの不安や興味」、あるいは「不可解さを解き明かしたい」という欲求に依るものである。こうした現象も高度情報化社会という断片情報化社会故の現象であろう。

数年前までは占いが不安を解消する一つであった。しかし、もはやそんな占い程度では払拭できない深刻さに向き合っているのだと思う。その深刻さとは、極論ではあるが、断片情報化社会にあって「知らないことへの恐怖」とでも呼べるものだ。そして、TV番組や雑誌は雑学流行となった。以前「うわさの法則」という社会心理の法則にふれたことがあったが、知らないことへの「恐怖の法則」にまで病状が悪化してきているのではないかと思うことがある。
こうした断片情報化社会から学ぶべきことは、事実に基づいた物語をていねいにコミュニケーションすることだ。そして、コミュニケーションしてもなお不可解さが残るようであれば、その源に実際に触れ体験してもらうことだ。昔流行った言葉に「事実は小説より奇なり」とあったが、今や「体験は小説より奇なり」いや「体験は事実より奇なり」という時代にいる。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:59Comments(0)新市場創造