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ヒット商品応援団
「人力経営」という本を書きました。ヒット商品の裏に潜んでいる「人」がテーマです。取材先はダスキン、エゴイスト、野の葡萄、叶匠寿庵、桑野造船の経営リーダー。ユニーク、常識はずれ、そこまでやるのか、とにかく面白い経営です。星雲社刊、735円、新書判。
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2006年12月10日

カリスマ経営の本質 

ヒット商品応援団日記No123(毎週2回更新)  2006.12.10.

ここ1ヶ月ほど一つの時代を創り、今なお革新し続けている経営者と会い、経営に関する多くの知恵やアイディアを享受させていただいた。今も行列が続く「野の葡萄」代表の小役丸秀一さん、創業明治元年琵琶湖堅田でボートづくり「桑野造船」の代表を引き受けた古川宗寿さん、老舗ばかりの和菓子の世界で理想を追い求める「叶匠寿庵」代表の芝田清邦さん、あの渋谷109でカリスマ販売員というキーワードを一般化させた「エゴイスト」代表の鬼頭一弥さん、そして来週中には祈りの経営を東証1部に上場させる「ダスキン」代表の伊東英幸さんとお会いすることになっている。業種も企業規模も全く異なるこの5社、5人であるが、共通していることが一つある。全て革新者であるがその革新を実現するための「人づくり」が共通していることだ。この5社、5人については書籍という形で皆さんにお知らせできると思う。

ところでその一人であるエゴイストの鬼頭さんと一昨日お会いした。私が会いたいと無理を言って時間を作っていただいたのだが、アポイントの電話を入れたところ11日から22日まで全国を回るのでその日以外でしたらと快諾してくれた。その理由を聞くと、「500人にもなるショップスタッフとは顔を会わせることが少なくなり、せめて賞与のとき位は直接会って声をかけて渡したい」と答えてくれた。マスコミという表舞台にはなかなか現れない人物で、表に出てくるのはエゴイスト=カリスマ販売員である。渡部加奈さん、森本容子さん、中根麗子さん、そして熊谷真帆さん、と歴代のカリスマ販売員については若い世代は周知で、こうした人材を輩出した経営リーダーである。業界の人からはエゴイストは人材養成所ですねと言われると笑って答えてくれた。エゴイストを知らない方がいるかと思うので、若干そのプロフィールを言うと、
・1994年にエゴイストを創業、当初はインポート物のセレクトショップとして運営。
・1996年頃、韓国のテキスタイルと工場に着目。
・1998年、初代カリスマ販売員である渡部加奈さんと今日の生産、販売などのスタイルを確立。
・1999年9月にギネスにのる前代未聞の17坪弱の店で月商2億8万円を販売する。
そして、私もそうであるが、多くの注目が、渋谷109とエゴイスト・カリスマ販売員に集まったと言えば多くの人は思い出すと思う。

話の中で多くの示唆を頂戴したのだが、2つ印象的なことがあった。一つは、ハングリー、どん欲さである。ギネスにのる新記録についても月商1億9999万では駄目で2億1万にしなければ意味がないと答えてくれた。それは、売り上げという数字ばかりか、あらゆることに渡っている。お金へのどん欲さというより、目標という生き方のどん欲さである。そうした生き方がスタッフに浸透しているから、ギネスブックにのるような結果が得られたのだと思う。
もう一つが素直さである。私の話にも興味深く聞くといったこともそうであるが、現場スタッフ一人ひとりに対しても同様である。年2回直接会って賞与を渡すのだが、その時様々な事情で来月辞めるんですと言われるのが一番つらいと話す。自ら、年齢もそうだが皆のお父さんですよと笑っていた。まるでエゴイストという会社は鬼頭ファミリーのようだ。
今、次への革新、チャレンジの準備中と話してくれた。次なる夢経営、革新は続いている。どん欲さとはある意味で厳しさでもあり、また自分一人では何も出来ないという自戒と人への優しさだ。エゴイスト代表鬼頭さんに厳しさと優しさを感じたのだが、ファッションを通じて人をきれいにして上げたい、そんなスタッフにも幸せになって欲しいという「人間大好き人間」が鬼頭一弥の本質だと思う。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:02Comments(0)新市場創造