2006年ヒットの読み方      

ヒット商品応援団

2006年12月17日 13:49

ヒット商品応援団日記No125(毎週2回更新)  2006.12.17

2006年度のヒット商品についていくつかレポートが出てきた。三井住友のコンサルタント会社SMBCの発表では、任天堂DS、mixi、ダ・ヴィンチ・コード、ワゴンR、TSUBAKI、植物性乳酸菌ラブレ、薄型テレビ、オシャレ魔女ラブandベリーといったところを挙げている。多くの人は「先端技術商品」という言い方でヒットの理由を説明しているが、私は少し異なる見方をしている。周知の任天堂DSは「脳を鍛える」ソフトという知的ゲームソフトである。ダ・ヴィンチ・コードは「謎解き」映画である。オシャレ魔女ラブandベリーは小学生の女の子がダンスや着せ替えをして遊ぶカードゲームである。上位のヒット商品に共通なものは、子供から大人まで、ある意味で「知」を遊ぶ商品である。mixiも安心を確保した「知」のネットワークとも言える。

こうした「知」そのものを遊んだり、「知」を感じさせる商品は、日本の生活者の多くの体験学習の結果だと思う。成熟顧客、大人化という言い方ではなく、「知」の欲求商品・サービスといった方が正確である。今年の流行語大賞に選ばれた「品格」にも通ずるものだ。9月に「知の旅観光政策」をテーマにブログで次のように書いた。
『いわゆる「散歩ブーム」であるが、外見上は散歩に見えるが、中身はと言えば「知の遊び」「知の冒険」である。・・・・・・・・・以前、このブログでANAの「旅割」という時間帯による割安料金について書いたが、旧国鉄時代からのロングセラーきっぷ「青春18きっぷ」も「小さなふしぎ発見」の旅に活用されると思う。この「青春18きっぷ」は期間が決まっており、その期間中は特定路線が混雑するといわれているが、団塊世代が一斉に第二の人生を歩む2007年以降はこうした混雑は「日常」となる。』
旅をテーマに書いたものだが、生活の中に知性を感じさせる、知的な商品で埋め尽くす時代を迎えることになる。以前、生命美についてふれたが、知性美も時代のキーワードになっていく。団塊世代が消費の中心になっていくが、アンチエイジングと共に、知性美にスポットライトが浴びることになると思う。

ここ数年ファッションを含め、「違い」という個性を求める時代潮流があったが、競争市場の視点に立つと、「知」の競争、どんな「知性」かの競争が中心となる。資生堂のヒット商品TSUBAKIも知性美商品であり、「知」を競い合う時代だ。従来のスタイル、コーディネーション、歩き方などの競争、それらは全て「外側」の競争で、「内側」、知性の競争へと向かう。好きな言葉ではないが、格差という視点に立てば、「知の格差」も生まれてくる。これは学歴のことを言っているのではない。どことなく、雰囲気として内側から醸し出されてくるもので、モノを買ったからすぐにそうなれるというものではない。大きなブームにはならないが、知の大学習時代を迎えると思う。(続く)

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